映画・テレビ

沈まぬ太陽

映画「沈まぬ太陽」オリジナル・サウンドトラック渡辺謙主演の「沈まぬ太陽」を観た。上映時間3時間を超える大作で、途中で10分間の休憩が入る。見応えがある面白い作品で、上映時間の長さは全く気にならなかった。

原作は読んでいないが、長い話をとても上手くまとめたのではないかと思う。日航の社内報では、このタイミングでこの映画が公開されることを批判しているらしいが、それほど神経質になることはないと思う。

1985年に起きた日航機事故をモチーフにはしているが、この映画はサラリーマンとして生きるとは何かを問う作品だ。渡辺謙演じる主人公のあきれるほど誠実に働く姿は、世の中の多くのお父さんの共感を呼ぶことだろう。

難点を一つ上げると、前半、渡辺謙の海外勤務時代の話が、過去に遡るかたちで語られるのだが、見た目の違いがほとんどないので、ちょっとわかりにくかった。髪形とか洋服とかもう少し大きく変えても良かったのでは?

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無防備

映画の内容より、出産シーンで話題が先行してしまった感のある映画「無防備」を観た。出産シーンをモザイク無しで上映することを許可したのは正しい判断だと思うが、果たしてR18指定の必要があっただろうか?

むしろ中学生や高校生にも積極的に見せるべき内容だと思う。人の死が安売りされている感のあるケータイ小説の映画化や、最近ヒットした某花嫁映画なんかよりも、よっぽど正しいと思うのだが。

心理描写が本当に上手い。セリフでは無く表情やちょっとした仕草から、主人公の女性のやり切れない気持ちがひしひしと伝わってくる。そして、クライマックスへ向けてのまさにラストスパートが素晴らしい。デジタルシネマによる上映だったが映像も奇麗だった。

観てから数日経つが、いくつものシーンが鮮明な印象を持って思い出される。

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東京国際映画祭: イースタン・プレイ

東京国際映画祭でグランプリを獲得した「イースタン・プレイ」を観た。ブルガリア人の監督が、ブルガリアの首都ソフィアを舞台に撮ったブルガリア映画である。記憶する限り、ブルガリア映画を観たのは初めてだと思う。

芸術家を志す兄と、ネオナチの活動に足を突っ込む弟がいる。兄は、トルコ人旅行者の親子がネオナチに襲われるところを助けたことで、その旅行者の娘と仲良くなる。兄はまた、その場で弟が襲撃に加担していたことを目撃する。

外国人を排除しようとするトルコ人の民族主義者とか、ネオナチが裏では政治家に操られていることとか、ブルガリアが抱える社会問題を背景にしている。しかしながら、この映画で描かれているのは、トルコ人娘との恋心を引き裂かれるやるせなさや、弟や家族との間のぎくしゃくした関係とかの、主人公のリアルな感情だ。

結局、主人公は閉そく感からなにも開放されないのだけれど、なんとなく清々しい気分にさせられる映画だった。恐らく、それには映像から溢れだす澄み渡った空気感が一役かっていると思う。

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東京国際映画祭: ゼロの焦点

ゼロの焦点 (広末涼子、中谷美紀、木村多江 出演) [DVD]東京国際映画祭で「ゼロの焦点」を観た。豪華出演陣と、犬童一心監督ということで、かなり期待して観た。

舞台挨拶で黒田福美が昭和の時代を見事に再現していると言ってたが、恐らくほとんどセットやCGは使っていなくて、実写で良くここまで再現できたなと感心させられた。一部は韓国で撮影されたようだ。

かなり見応えのある作品であったことは間違いないが、いまひとつ登場人物の心理状態が伝わってこなかった。それでも、主演の3人の女性については理解できたが、脇役が描き切れていなかったと思う。時間の関係で、重要な部分がカットされてしまったのではないだろうか?

特に、中谷美紀を支える夫の鹿賀丈史の役が、かなり重要なはずだが、なぜそういう行動をとったのか、理解できなかった。広末も決して嫌いではないが、今回の役はいまひとつ。ちょっと辛口になってしまったが、中谷美紀は、本年度の日本アカデミー賞の主演女優賞候補だろう。

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東京国際映画祭: TOCHKA

東京国際映画祭で「TOCHKA」という映画を観た。北海道の原野に遺された戦争遺跡トーチカの中から、外の様子をのぞく女性のカットから始まる。そこに一人の中年男性が現れる。登場人物は、基本的にこの二人で、トーチカを舞台に二人の会話でストーリーが語られるワンシチュエーションの映画になっている。

ネタばれになるので、詳細は伏せるが、ラスト近くの長が3つくらいつく感じの長回しが観客にもの凄い緊張感を与える。トーチカの煙突から聞こえる風の音を録音したというBGMも、その緊張感を与えるのに一役かっている。

この感覚は映画館でないと味わえない。小品ではあるが、映画館で見てこそ価値がわかる映画だと思う。

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東京国際映画祭: 掌の小説

掌の小説 (新潮文庫)東京国際映画祭で「掌の小説」という映画を観た。川端康成の短編小説集の映画化で、4人の監督による4編のオムニバス形式。

舞台挨拶で監督や出演者が言ってたが、撮影してから2年半経っているとのこと。

純文学を映画化するのは難しいと思う。最後の話の映像は印象的だった。

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東京国際映画祭: 君と歩こう

東京国際映画祭で「君と歩こう」という映画を観た。地方の女教師と男子高校生が駆け落ちして、東京で二人で暮らすという話。シチュエーションは隠微な感じだが、この映画基本的にコメディなので、そういう雰囲気は全く無い。

二人の掛け合いがすごく面白い。なぜ二人が駆け落ちすることになったのか、お互いに惹かれあっているのかどうかも良く分からないが、二人を含め周辺の登場人物も憎めないバカキャラの勢いで最後まで引っ張っていくとう感じ。心理的に重いカットもあるが、全体的に軽いノリなのが好印象の映画だった。

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パンドラの匣

パンドラの匣―河北新報社版太宰治原作の映画化「パンドラの匣」を観た。恥ずかしながら、この原作も太宰治の作品も、断片的にしか読んでいないのだが、それでも、作品の世界観をうまく映画化できているように感じた。

映画初出演にもかかわらず川上未映子の自然な演技も良かったし、久々に見た窪塚洋介も良かった。

主人公の語りの部分が多いので、話のテンポは単調になりがちだが、印象的な映像と音楽による演出が効いていたので、退屈せずに見ることができた。

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ロボゲイシャ

Robogeisya 「ロボゲイシャ」を観た。芸者の姉妹が、悪の組織に放り込まれて対決するという内容のB級映画。セットは意図的と思われるほど張りぼてだが、それなりに予算はかかっているようで、竹中直人とか、メジャーな役者も出ている。

それなりに面白く観ることはできたが、いま一つ荒唐無稽さが足りないと思う。

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空気人形

空気人形 O.S.T.「空気人形」を観た。「ラースと、その彼女」は、主人公がラブドールを、生きていると思い込んで行動する話だったが、「空気人形は」は本当に人格を持ってしまうという話だ。そういう意味では、ピノキオに近いのかな。

透明感のある映像と、しんとした間が心地よい。一見ファンタジー仕立てではあるが、ときどき挿入されるリアルな描写が痛々しい。

主演のぺ・ドゥナは、「リンダ、リンダ、リンダ」や「復讐者に憐みを」では気がつかなかったが、かなり手足が長くて、背が高い。モデル体形だと思った。

誰しも、自分の心のどこかに、ぽっかりと穴があいているように感じることはあると思う。そこは良く伝わってきたが、描き方がちょっとステレオタイプ過ぎるかな?

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20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗

映画「20世紀少年~最終章」トリビュート・アルバム(限定プレミアム盤)「20世紀少年 最終章」を観た。この3部作は、原作自体が、ちょっと支離滅裂なところがあるので、技術的な問題よりも、ストーリー的に映画としてまとめるのは難しかったのではないかと思う。

ラストは確かに原作とは違っていたが、なかなか上手くまとめたと思う。原作より寧ろわかりやすい。ただ、演出的にはエンドロールが終わってから、いくらなんでも引っ張りすぎだと思う。

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リミッツ・オブ・コントロール

Limits of Controlジム・ジャームッシュの新作「リミッツ・オブ・コントロール」を観た。「権力を握ろうとする男を殺せ」という、分けのわからない使命を受けた殺し屋が、その理由を問いただそうともせず、ただただストイックに任務を遂行する。

一般受けは全くしないと思うが(おばちゃん連中は映画が終わるなり、そそくさと席を立った…)、初期の頃からのジム・ジャームッシュ好きには、すごくはまると思う。原色版「デッドマン」とでも言うべきか。

殺し屋の仕草のひとつひとつが妙にひっかっかる。同じ仕草が何度も繰り返されるのだが、何度観ても面白い。歩きながらスーツの前ボタンを下まで留めて、座る前に必ず外すところが特にいい。

ネタばれになるが、「権力を握ろうとする男」なんて、どうやって見つけるのかと思ったけど、ちゃんと見た目でわかるんですよね。現実世界でもそうかもしれないと、妙に納得してしまった。

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ちゃんと伝える

ちゃんと伝える (小学館文庫)パリに旅立つ直前、園子温監督の最新作「ちゃんと伝える」を観た。「愛のむきだし」からは、一転、園監督にしてはストレートな作品だ。ただし、主演にEXILEのAKIRAをもってくるあたりは、らしいと思う。

AKIRAは頑張っていたと思うが、肝心のシーンでいまひとつ迫力に欠ける。一方、恋人役の伊藤歩は、この手の役をやらせると、ほんとに上手い。以前観た「カーテンコール」の役もよかったが、今回の役はいっそうはまっていた。伊藤歩の涙につられて、ぼろぼろ泣いてしまった。

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地下鉄のザジのパッサージュ

Passage_2 ポンピドゥセンターに行ったついでに、「地下鉄のザジ」の追っかけっこのシーンにも出てくる、Passage du Grand Cerfを歩いてみた。

日曜日だったので、店は閉まっていて、人もほとんど歩いていなくて、シャッター街のような雰囲気。パリのパッサージュはミラノで観たガレリアに比べると、道幅も狭くてこじんまりしている。

上の方を見上げると、ザジも走りまわっていた橋が渡っている。

Garedelest ザジにとってのパリの玄関口になる東駅。St_vincent_de_paul

こちらは、映画の中では兵舎だとか言われていた、東駅と北駅の南方にあるSt. Vincent Paul教会。

Lamark_caulaincourt 別の日にモンマルトルにまた行ってみた。今回は、サクレ・クールの裏側にあるLamark Caulaincourt駅から行ってみた。駅のホームから地上に出るまで、延々と螺旋階段を上る必要がある。写真は駅を出たところにあった階段。

Montmartre この日は曇っていて、そのせいか観光客も少なかったが、曇りの日でもかなり遠くまで見渡せるのはいい。

この日の夕食は、ムール貝だったことは言うまでもない。

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サンリスに髪結いの亭主の床屋を求めて

Senlis1 「髪結いの亭主」という映画が好きで、そのロケ地を一度訪れたいと思っていた。現代とは思えない街並みに、初めてこの映画を観た時はセットではないかと思っていた。

Senlis2_2 最近になって実在する街で撮影されていることを知って、パリから意外と近いところにあることがわかったので、今回行ってみることにした。

パリ北駅から、電車で20分。Chantilly-Gouvieuxという駅で降りる。シャンティイ城があることで有名な街だ。そこから、バスで20分ほど、終点のSENLISで降りる。

Senlis3 バスを降りても、案内地図のようなものは見当たらない。大聖堂を目標に歩いて行くと、中世の街並みが現れる。

で、肝心の「髪結いの亭主」のロケ地となった床屋は、結局見つけれらなかった。うろ覚えでも、近くまで行けばわかるだろうと思っていたのが、それっぽい店は多々あったが特定できなかった。

ホテルに戻って、YouTubeで見直して見ると、思っていた場所とは違っていたようだ。小さい街なので、ほぼくまなく歩いたつもりだったのが…

Senlis4 さすがに、ここまで来ると日本人観光客はいない。いや、観光客自体少ないのだが。

駅前でいつ来るともわかないバスを待っていると心細くなってきた。

Senlis5 ベンチで座っていたら、学生風の女の子二人組にフランス語で何か質問されたのだが、大学時代に少しフランス語を齧っただけの僕には答えることはできなかった。首を横に振ると、「Non?」と言って、二人はあきらめたように去って行った。

またいつかリベンジして、あの床屋を見つけ出したい。サンリスの街並みは永遠に変わらないだろう。

Garedunord_3 パリ北駅に戻ってくると、喧騒が逆にほっとする。

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ディア・ドクター

ディア・ドクター×西川美和「ディア・ドクター」を観た。「ゆれる」に感動して2回観に行った僕としては、期待がある半面、主演が鶴瓶というところにちょっと引っかかりがあった。鶴瓶はテレビドラマとかに出ているの観ていて、人の良いキャラクターを生かした演技ができることはわかっていたが、意地悪な僕としては、そこがちょっと鼻につくというか、ほんとは見た目ほどいい人じゃないんじゃないのとつい勘ぐってしまっていた。

今回の映画も、田舎の医者役で、実は医師免許が無いのに医者のふりをしていたというプロットは知っていたので、ある程度ストーリーは予測できるというか、きっと今回もいい人役なんだろうなと予想していた。

それで、「ディア・ドクター」だが、結論から言うと、事前の危惧は杞憂に終わった。確かに、今回もいい人役であることは間違いないのだが、西川監督は、鶴瓶はほんとは見た目ほどいい人じゃないんじゃないのと僕が感じていたところまで、良く分かった上で、伊野という偽医師のキャラクターを作り上げていた。

自分が偽医者だと告白するシーンには、すごく共感させれたし、最後の逃亡に至るシーンの葛藤を思いやると身につまされる。寒村の医療問題、インフォームドコンセント、尊厳死、医療に関する多くの問題をはらんだ映画でありながら、人間の心理に深く切り込んだ脚本、演出は見事だと思う。珍しく、上映後に拍手をする人がいた。

ただ、一般にわかりやすい作品かと言われると、難しいと思う。例えば、「おくりびと」のようなわかりやすさは無い。例えば冒頭の、老人が寿司をのどにつまらせて、窒息死と判断されてから、伊野が抱きかかえたところで息を取り戻すシーン。意外にもこのシーンで大爆笑している観客が結構いた。

このシーンの意味を考えると、単純に笑えるシーンでは無いと思う。そして、このシーンがラストの伊野の判断とも繋がっている。

井川遥も相変わらず良かった。Yahoo!の映画評では、この映画で井川遥を見直したという意見が多く目につくが、とっくの前に映画女優として開眼していると思うのだが、確かにこれまであまりメジャーな映画には出ていなかったということだろう。  

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美代子阿佐ヶ谷気分

美代子阿佐ケ谷気分「美代子阿佐ヶ谷気分」を観た。漫画家の安部慎一と彼の恋人美代子との同棲生活を描いた作品で、映画のタイトルは、同名の漫画からとっている。

狂気の芸術家を支える精神的に強い妻という関係は、よくあるパターンだ。「アキレスと亀」が記憶に新しい。

この映画はいかにも70年代的な雰囲気がよく表現されていた。原作自体が、慎一と美代子の私生活を題材にしているのと、エンドクレジットで本人が登場することもあって、ドキュメンタリーを映画を観たような感覚があった。

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不灯港

映画「不灯港」を観た。さびれた港町で、一人で暮らす38歳の漁師の男性が、不器用に女性を求める様を描いたコメディー映画だ。

都会の女性とのお見合いパーティにも失敗した主人公万造のところに、子連れの若い女性が転がりこんできて、いい感じの仲になるのだが…

特に前半は、万造の時代遅れのダンディさとか、古臭いきざなセリフとかが効いていて、最高におかしい。田舎を舞台にしているとろとか、シュールなギャグの感覚とかは、山下敦弘との共通点も見受けられるが、裏には単なるコメディではない、社会派の作品を撮ろうという志も感じられる。

後半は、少しシリアスな要素が強くなりすぎた感もあるし、ちょっと平凡な展開になってしまったと思う。ラストも、意味は多分理解できたと思うが、もうひと捻り欲しかった。

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 オリジナルサウンドトラック SPECIAL EDITION「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観た。日曜日の21:15からの最終回だというのに立ち見の出る盛況ぶり。公開1週目の動員数が一位だったので、昼間の回の混雑は避けようと思って、あえて日曜日の最終回にしたのだが、まさかここまでとは…

ストーリーも、テレビ版とは予想以上に違っていて、驚きの展開の連続。映像的にも、前作の「序」は、テレビ版をそのままリファインしたという程度だったが、本作はCGを多様していて、ジャパニメーションの技術の粋を見せつけたというような出来。

ここからネタばれ。ダミープラグに制御を奪われた初号機が、使途に浸食された弐号機を、アスカもろとも食い殺すという残酷なシーンに、あえてミスマッチな「今日の日はさようなら」を流す演出は、園子温の「完全自殺サークル」を思い出してしまった。

映像の進化に目を奪われがちだが、テレビ版との一番の違いは、シンジ、綾波、アスカの友情や、特に綾波のヒトとしての感情の芽生えに、よりスポットを当てたところだと思う。恐らく、アンチエヴァ的な立場の特にアニメ業界の先人たちへの、庵野監督なりの回答だと思う。3作目、4作目は、よりこの傾向が色濃くなっていくと予想される。次作「Q]が待ち遠しい。

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映画「USB」

Usb シネマライズで映画「USB」を観た。なんとも一言で言い表せない不思議な感覚の映画だった。

事前にあらすじを読んだときは、原発事故がキーワードになっているということで、ちょっと前に観た「へばの」を思い出したのが、全くベクトルの異なる映画だった。

ラストシーンにもつながる冒頭のブザー音が不安感を湧き立たせる。はじまって暫く観ていると、昔のATG作品を観ているような感覚に陥る。

ワンカット、ワンカットがすごく印象に残る。しばらくしたら、この映画のストーリーは忘れてしまうかも知れないが、映像は忘れることはないだろう。

ストーリーは説明があまりないので、正直よくわからい部分も多い。タイトルのUSBの意味さえ、定かではでない。でも、この映画は、放射能汚染とか遺伝子とか、一見裏に思いテーマを隠しているようではあるが、実は考えてみる映画ではなく、映像の面白さを堪能する映画だと思う。

まだ若い監督だそうなので、これからが注目です。あと、主人公の恋人役を演じた小野まりえは近い将来ブレークする可能性があるので、そういう意味(?)でも抑えておくべき作品かもしれない。

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マン・オン・ワイヤー

マン・オン・ワイヤードキュメンタリー映画「マン・オン・ワイヤー」を観た。フランス人の綱渡り師フィリップ・プティとその仲間たちが、ニューヨークのWTCのツインタワーの間を渡ることにゲリラ的に挑戦する過程を描いた映画だ。

当時の関係者のインタビュー映像と、当時のドラマを役者を使って再現した映像が交互に流れる構成になっている。そういう意味でこの映画は純粋なドキュメンタリーとはちょっと違っているが、インタビュー映像のみより分かりやすくなっていることは確かだ。

ただ、ドラマチックな内容の割には今一つ盛り上がりにかける気がする。その理由の一つは、フィリップ・プティがしゃべりすぎることにあると思う。まさにマシンガン・トークだ。ラストの彼のセリフがいいだけに少し残念。

あと、この映画で使われているマイケル・ナイマンの音楽は、過去の「英国式庭園殺人事件」とかで使われていた曲で、久々に聞いて懐かし感じがした。

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NHK技研公開2009

Giken2009 2年ぶりにNHK技研公開を観てきた。全体的には、2年前とそれほど変わらない印象だった。2011年の地デジ完全移行が危ぶまれる中、スーパーハイビジョンが一般家庭に浸透するのはいつ頃になるのだろう?

Giken2009_1 様々な方法での地デジ配信の試みを説明したジオラマ。

真中に立っているのは建設予定の東京スカイツリー。東京タワーとの縮尺は合っているのだろうか?

Giken2009_2 スーパーハイビジョンカメラ。放熱が難しいのか、側面にはファンが3つもついている。

今回も巨大スクリーンでハイビジョンシアターを観た。画質的には前回と比べてどこが良くなったかは正直良くわからなかったが、前回よりスクリーンに近い席で観たせいか、ドット欠けが気になった。やはり、まだまだ作るのが難しいのだろう。

今回も、懲りずに7階の食堂で昼食をとった。前回の定食は失敗だったが、今回食べた牛丼は悪くなかった。あと、2年前はPASMOが使えなかった東急バスも、今回は使えるようになっていた。やはり2年たつと、世の中どこか進歩している。

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スラムドッグ・ミリオネア

スラムドッグ・ミリオネア (名作映画完全セリフ集スクリーンプレイ・シリーズ)

2000万インドルピー = 4 050.06163 万円

スラムドッグ・ミリオネアの映画の中のインド版クイズミリオネアの賞金である。日本円にして4千万円は、日本版ミリオネアよりは高いことは確かだが、映画の中での扱いは億万長者になれる的な金額だった。果たして本当にそうなのだろうか?

ちょっと調べてみたところ、インドの労働者の平均年収は、5万~10万ルピー程度らしい。富裕層と呼ばれる人でも100万ルピー程度らしい。その金額から推定すると、確かに2000万ルピーあれば、一生不自由なく暮らしていける気がする。

そのあたりの背景を知らないので、金額の大きさが映画を観ていても良く伝わってこなかった。この映画がアカデミー賞を獲得した理由の一つは、急激な経済成長をとげるインドにおいて、スラム街に生きる子供たちも例外なく、時流に巻き込まれている社会の歪を捉えたところにあると思う。

恐らくアカデミー賞の審査員は背景を把握した上でこの映画を観ていると予想されるが、日本人の一般の人には馴染みの薄い話なので、映画の中でもう少し説明して欲しかった。

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おっぱいバレー

綾瀬はるか in おっぱいバレーオフィシャルPHOTOブック <テレビタロウ特別編集> (TOKYO NEWS MOOK (通巻149号))

「おっぱいバレー」を観た。タイトルはちょっと恥ずかしいけど、映画の中身は、さわやかな青春ストーリーという感じだった。「ヤッターマン」より、むしろデート向きだろう。

綾瀬はるかが主演ということで、タイトル通りの展開にはならないことは、誰もが見る前から分かっている。従って、この映画のポイントは、中途半端な落ちの付け方ではなく、いかに観客を納得させるかという点にかかっている分けだが、その点に関しては十分納得のいくラストになっていた。

舞台は1979年の北九州に設定されている。街の風景はセットではないようだったが、綾瀬はるかのファッションとか、スバル360を始め、よく探したなと思うくらい、この時代の車がたくさん登場して、時代背景を表現するのに一役かっている。

一応実話が元になっているようだが、元は現代の話で、映画化に際して、時代設定と舞台を変えたらしい。確かに、現代の話にしては、ちょっと純情すぎるというか、リアリティーに欠ける感じがするので、1970年代にしたのは正解だろう。恐らく、「フラガール」のヒットにヒントを得ていると思う。

それにしても、中高生を主人公にした最近の邦画は、この映画のような回顧的な方向か、「クローズzero」のような劇画的な方向に2分されてしまっているようで、現代のリアルな十代を描いた作品も見てみたい気がする。

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フィッシュストーリー

フィッシュストーリー「フィッシュストーリー」を観た。伊坂幸太郎原作の映画化で、「アヒルと鴨のコインロッカー」と同じ監督とスタッフによる制作らしい。

1975年に解散したパンクバンドの「フィッシュストーリー」という曲がきっかけになって生まれた'正義の味方’が、2012年の人類滅亡の危機を救うまでを描く。こう書くと、「20世紀少年」と同じような話に聞こえるが、いい意味でもっと緩い感じの話になっている。

人類滅亡の危機は明らかに「アルマゲドン」のパロディになっている。気になったので、原作を本屋で斜め読みしてみたが、原作とは違っていて、映画化の際の脚色のようだ。原作ものの映画化は、どちらかと言うと物足りないケースの方が多い印象があるが、伊坂幸太郎の作品は、映画版も面白い作品が多いと思う。

この映画も、それぞれの時代のエピソードがどれも面白いので、観ていて飽きない。ただ、時代と時代の繋がりが決してわかりにくいという訳ではないのだが、ラストで種明かしをしようとしたせいか、いま一つスムーズに繋がっていかないところが残念。

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フロストXニクソン

フロスト×ニクソン (フランク・ランジェラ 主演) [DVD]「フロストXニクソン」を観た。フランク・ランジェラ演じる、ニクソン大統領の圧倒的な存在感。マイケル・シーン演じる司会者フロストは、格の違いを見せつけられる。

この映画は、2人の対決が見物であることは確かだが、テレビ業界の裏話的な視点で見てもおもしろい。司会者でありながらプロデューサー的な役割もこなすフロストが、自費を投じて番組を制作し、テレビ局に売り歩くというスタイルは、日本には無い。

もちろん日本にも制作会社はたくさんあるが、基本的にはテレビ局の請負で番組を作る。この映画を見ていると、コンテンツ制作者と配信事業者が完全に分離されている海外のテレビ番組の作られ方がよくわかる。

セリフも気が効いていて面白い。フロスト側のメンバーが“有能な”ということを示すのに字幕の説明付きで“Crack”という単語が使われていたが、ニクソン側を打ち破るというような意味合いも引っかけている。

あと、フロストとニクソンの性格の違いを、靴の違いで見せている点も面白かった。フロストが履くグッチのビットモカシンは、軽やかなフロストの立ち振る舞いをよく表わしていて、ニクソンが履く重厚な紐靴とは対照的だ。

話自体は、ウォーターゲート事件に関して良く知らなかったので、いま一つついていけない部分があったが、ディティールに拘る見方をしても面白い映画だと思う。

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映画は映画だ

メイキング of 映画は映画だ~カン・ジファン in White~ [DVD] メイキング of 映画は映画だ~ソ・ジソブ in Black~ [DVD] 「映画は映画だ」を観た。僕はこの映画を観るまで全く知らなかったが、カン・ジファンとソ・ジソブという人気上昇中の韓国俳優が出ているせいか、観客の8割がおばちゃんだった。残りの1割が若い女の子同士、残りが男性客という極端な観客構成。

都内では、新宿の一館でしか上映されていないせいか、結構な混み具合だった。

しかし、この映画は、おばちゃんだけに見せておくには勿体ないくらいいいできだ。キム・ギドクが原案と制作を務め、彼の助監督をやっていた人の初監督作というだけあって、ありえないシチュエーションを力技で説き伏せる。

カン・ジファン演じる人気俳優は、格闘シーンの撮影中に、つい本気になって、共演相手を次から次へと怪我させてしまう。たまたま同じ店に居合わせた、ソ・ジソブ演じるやくざとすったもんだあった後、彼が代役に名乗り出る。という導入部分から、ラストまで、撮影シーンでの両者のプライドをかけた闘いと、やくざの抗争を織り交ぜながら、最後まで面白く見せる。

特にラストの決闘シーンは、写真にあるように、白いカン・ジファンと黒いソ・ジソブがどう変わっていくかというところがアイディア賞ものでもあり、かなりの迫力だ。

基本的にはハードボイルドな展開だが、適度に笑いやラブストーリーもあって、ハードすぎないので、割合幅広い層に受け入れられると思う。二人がプライドをぶつけ合いながらも、どこか互いにひかれている様子や、ソ・ジソブが演じるやくざのどこか松田優作が演じる役のような孤独で優しい生き様等、ギドク監督作とは明らかに異なる熱い映画だった。

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BU・SU ~追悼・市川準監督レトロスペクティヴ~

市川準昨年亡くなった市川準監督の追悼上映で「BU・SU」を観た。20年以上前の富田靖子主演の映画で、市川監督の初監督作である。

かなり前に、テレビかビデオかで観た記憶はあるが、すっかり話は忘れていた。富田靖子は昔も今も見た目はあまり変わらない。淡々と進むストーリーと、主人公に対する優しい眼差しが印象的な作風は、初期の作品も晩年の作品も変わらない。

本編の上映前に、市川監督の名作CM集が上映された。キンチョールとかナショナルのインバーターとか、見てるだけーが流行語にもなったニッセンのCMとか今見ても面白い。

最近CM出身の映画監督は多いが、市川監督はその先駆け的な存在だと思う。映画でもCMの作風を踏襲する監督が多い中、市川監督は、CMではキャッチーなコピーと奇抜な映像を押し出した作品が多いのに対して、映画は対照的に静かな作風の作品が多い。

「大阪物語」とか他の上映作も見たい。

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ヤッターマン

映画「ヤッターマン」オフィシャル・ヴィジュアル・ブック実写版「ヤッターマン」を観た。できとしては可もなく不可もなくという感じだ。CGを駆使して実写にしたらこうなりましたというもので、それ以上でも以下でもない。

昔のアニメ版に熱中していた人は十分楽しめると思うが、「ヤッターマン」をリアルタイムで知らない世代にはぴんとこないのではないだろうか?

その辺りは製作者側も良くわかっていて、ギャグを含めて大人向けな内容になっている。小学生くらいの子供も結構見に来ていたが、親子で楽しめる内容ではない。小さい子供はわけもわからず喜んで観るかもしれないが、親の方が冷や汗ものだと思う。

映画なので、一応話が完結する形になっているが、映画を見ながらアニメ版の最終回はどうだったたんだろうと気になって仕方がなかった。後でネットで調べてわかったが、そんな話だったかなという感じで、結局良く思い出せなかった。

まあ、この映画はストーリーを楽しむものではなくて、小ネタがいかに実写化されているかというところを楽しむものだろう。そういう意味ではサービス精神満点なので、エンドロールが始まっても、幕が下りるまで席を立たないことをお勧めする。

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チェンジリング

オリジナル・サウンドトラック Changeling「チェンジリング」を観た。1920年代に実際にあった事件を基にした映画である。

一人息子を誘拐された母親の苦悩と、不正を繰り返すロス市警との闘いを描いている。正義が勝つという感じで、一応の決着と、かすかな希望を見せるラストになっているのだが、かなり複雑な心境を抱かせる映画であることは間違いない。

僕が女性でも子を持つ親でもないからかもしれないが、彼女の心境には最後まで感情移入できなかった。それは恐らく、単純にウェットなストーリーにはしたくなかったイーストウッド監督の狙い通りなんだろうと思う。

それと、1920~30年代のロスの風景を見事に再現していて、それを観るだけでも価値があると思う。「3丁目の夕日」もすごいとは思ったが、良く見るとCGであることはわかった。この映画はCGかどうかも全くわからないレベルに到達している。

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罪とか罰とか

罪とか罰とか (小学館文庫)先日、緒川たまきと結婚したケラリーノ・サンドロヴィッチ監督の、最新作「罪とか罰とか」を観た。この監督の演劇も、映画もこれまで観たことがないので、ちょっとシュールなコメディ映画程度の予想しかしていなかったが、意外に凝った脚本が面白い映画だった。

成海璃子演じる売れないアイドルが、コンビニで自分が出ている雑誌を万引きしたことをきっかけに警察の一日署長をやることになる。そのコンビニ強盗をたくらむ一味と、成海の元彼で実は連続殺人犯の警察官のエピソードが同時進行しながら、偶然の積み重なりでからんでくるというような感じ。「ロック・ストック‥」や「運命じゃない人」をちょっと連想させる。

ギャグは個人的にはかなりツボだったが、駄目な人はまったくだめだろう。観客もかなり受けている人と、くすりともしない人に二分されている感じ。ブラックコメディが好きな人にはかなりおすすめ。

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悲夢

HOT CHILI PAPER PLUS 10 ~悲夢(ヒム)オフィシャルガイドブック~ (ホット・チリ・ペーパープラス)キム・ギドク監督の新作「悲夢」を観た。見ず知らずの男女が、互いの夢を共有し、相手が見た夢を、無意識のうちに実行してしまう。韓国が舞台だが、オダギリ・ジョーはなぜか日本語で話し、他の人は韓国語で話すのだが、何事もなかったかのように会話が成り立っている。

前もってそういう映画であることを知っていたせいか、その事に違和感は全く感じなかった。これまでの、この監督の映画を見ていれば、この程度の設定では驚かなかったと言った方が正しいかもしれない。

夢の共有という設定にあまり新鮮味がないせいか、演出にいまひとつ切れがないせいか、何となく凡庸な印象の映画だった。朝一の回に観たせいか、オダジョーファンというよりは、韓国ドラマファンと思われる比較的年齢層の高い女性客が多かったのだが、そういう人たちも、何となく煮え切らない様子で、映画館を去って行った(そう見えただけで、本当のところはわかないけど)。

唯一良かったのは、韓国の古い町並みが見れたこと。狭い石畳の坂道の地形に沿って家が建っていている様子は、どことなく南欧のようでもあり、日本の尾道や長崎とはまた違った味わいがあって面白かった。

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へばの

ポレポレ東中野で、「へばの」という映画を観た。青森県の六ヶ所村を舞台にした、男女の別れと再会を描いた映画である。

恐らく主演の二人以外は、地元の人を多く使っているらしく、方言がわからない。でも、ストーリーを追うのに支障があるわけではないので、それは大した問題ではない。

デジタル撮影のようだが、映像がすごくきれいで良かった。東北の寒々しい、雰囲気が良く表現されている。特に冒頭のシーン。

上映が終わった後、監督を交えてのトークショーがあったのだが、監督がものすごく緊張していたのが、ほほえましかった。安全地帯は、個人的には、結構いいと思う。ラストは、確かに、もう少し伏線が欲しかった気はするが...

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愛のむきだし

愛のむきだし

園子温監督の「愛のむきだし」を観た。大人正規料金2,500円を払って。上映時間3時間57分の長編。普通の映画の2本分だ。間に10分の休憩が入る。

ちょっと昔の大映ドラマっぽい面白さもあり、4時間が文字通りあっという間にすぎる。主演の若い二人、西島隆弘と満島ひかりの演技とアクションも圧巻。オダギリジョーや吉高由里子等、この監督は新しい才能を見つけるのがうまい。

一昨年の「紀子の食卓」は、見終わった後しばらく放心状態になる程の衝撃を受けた。「愛のむきだし」は、「紀子の食卓」に比較すると、ずっと一般受けすると思われる分、衝撃度は決して高くないが、突き抜けている感じというか、振り切った感は同じくらいのレベルがあると思う。久々にパンフレットまで買ってしまった。

帰りに六本木の青山ブックセンターに寄ったら、SPOTTED701というミニコミ誌に監督のインタビューが載っているのを見つけた。最近の日本映画は、大衆を狙ったわかりやすいものか、すごくカルトなものかに二分されているので、「愛のむきだし」ではその中間を狙ったということらしい。確かに、映画を見れば監督が言っていることは良く理解できるが、4時間、2,500円という時点で、多くの人は敬遠するだろう。

客層は、主演の西島のファンと思われる若い女の子と、監督のファンと思われる男性客に二分されている感じ。これまでの作品は、女性客が極端に少なかったので、そういう意味では、一般受けしているかもしれない。

空洞です

あと、音楽がすごくいい。主題歌になっている、ゆらゆら帝国の「空洞です」が耳から離れない。六本木ヒルズのTSUTAYAに寄って、CDを借りてしまった。というわけで、「愛のむきだし」にどっぷりはまってしまった一日だった。

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大阪ハムレット

大阪ハムレット (1) (ACTION COMICS)

「大阪ハムレット」を観た。「少年アシベ」で有名な森下裕美の原作コミックの映画化。久々に大阪を舞台にした、いかにも大阪という感じの映画だった。

破天荒な家族を描いているという点では、西原理恵子の「ぼくんち」にも通じるところがある。あそこまで、ひどくはないけど。

「ぼくんち」は原作も読んでいたし、映画も見たが、映画はいま一つだった。「大阪ハムレット」は原作を読んでいないので、原作との比較はできないが、映画としては、こっちの方が圧倒的に良かった。

登場人物がみんな前向きなのがいい。特に女の子になりたい男の子の末っ子のエピソードには涙してしまった。

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PARIS

Paris映画「パリ」を観た。余命わずかと宣告された元ダンサーと、ジュリエット・ビノシュ演じるその姉とのエピソードを中心にした群像劇だ。

他にも、教え子をストーカーする大学教授とか、朝市で働く男たちとか、パリで暮らす人々の様子を断片的に繋ぎ合わせて見せる。

それぞれのエピソードはそれなりに面白くて、これが普段のパリと言われれば、そんなものかなと妙に納得させられるところがある。去年パリで観てきた風景も、映画の中のパリの風景も違いが無かった。

ただ、いま一つ、まとまりがないと言うか、どのエピソードも中途半端に終わっている感じなのが残念。

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ラースと、その彼女

Lars and the Real Girl [Music from the Motion Picture]「ラースと、その彼女」を観た。人付き合いが上手くなく、何かしらのトラウマをかかえた男が、いわゆるダッチワイフを自分の恋人と思い込んで他人にも紹介する。そこから巻き起こる周囲の人間が混乱しながらも温かく受け入れる姿勢と、彼自身の成長を描く。

一見、コメディ映画に思わせておいて、ハートウォーミングなストーリーに展開していく脚本が見事。なぜ彼が人形を生きていると思い込むようになったかとか、彼の内面についての説明は一切ない。観客は、映画の中の町の人と同じ視点で、彼を見守る心境になる。

説明過多、必要以上の演出が多い昨今、そんなことはしなくても、感動を生み出せることの好例。

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悪夢探偵2

悪夢探偵2怖がる女 (角川文庫)「悪夢探偵2」を観た。前作は、あまり評判が良くなかったのでスルーして、2も積極的に見に行きたい気持ちはなかったのだけれど、Yahooのユーザーレビューが意外にも高評価なので観ておくことにした。

たしかに、かなり完成度が高い作品だった。ホラー映画として、怖がらせる部分はもちろんのこと、ドラマ部分のできが良いので、この作品の持つ世界観にどっぷり浸かって観ることができた。話がわからない部分は全く無かったので、前作を観ておく必要は無かったと思う。むしろ予備知識無しで、観て良かったかもしれない。

ホラー映画は、特別好きではないので、「リング」とか黒沢清の一連の作品程度しか観ていないけれど、恐怖シーンの演出という点では、それらと比較しても負けていないと思う。エレベーターのシーンは久々に繰り出される映像を観ることだけに集中してしまった。

加えて、日本のホラー映画が怨念とか情念とかがテーマになっている作品が多い中、恐怖と同時に愛を語るというところが、この作品のオリジナリティを際立たせている。ホラーという枠にとどまらず、ストーリーと映像の迫力と役者の演技とが高次元でバランスのとれた作品だと思う。

前回、昨年度観た映画のベスト5を挙げたが、この作品を去年観ていたらかなり上位に入ったと思う。

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去年観た映画ベスト5

去年映画館で観た新作映画は邦画が25本と洋画は17本だった。それ以外にも旧作映画のリバイバル上映を10本程度観た。前半は忙しくてあまり観に行けなかったが、後半はその分まきかえして何とか目標本数50本をクリアできた。新作の洋画と邦画のそれぞれベスト5を選んでみた。

邦画

  1. 青い鳥
  2. トウキョウソナタ
  3. 容疑者Xの献身
  4. 天国はまだ遠く
  5. 世界で一番美しい夜

1位から3位までは、単純に観て感動したから。4位に挙げた「天国はまだ遠く」は「百万円と苦虫女」「東南角部屋二階の女」「イエスタデイズ」の同じようなテンションの映画の中から僅差で選んだという感じなので、他の3作と入れ替えても大差ない。5位は、話の面白さという点では文句のつけようがないので。

洋画

  1. イントゥ・ザ・ワイルド
  2. つぐない
  3. ダークナイト
  4. ノーカントリー
  5. ミスター・ロンリー

洋画の方は、ハリウッドの大作で観たのも「ダークナイト」程度だし、かといってカルトな作品も不作だったので、選ぶのが難しかったが、1位から3位までは揺らぎ無いと思う。5位は、「ジェリーフィッシュ」でも良いかもしれない。

今年は世界的に映画業界は厳しくなると思う。ハリウッドの大手は低予算の作品向けの部門から先にリストラしているようだ。過去の遺産の焼き直しばかりの大作が飽きられているのは目に見えているので、一本あたりの予算は少なくしても新しい才能を探すことに費やすべきと思うのだが。

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おくりびと

おくりびと (小学館文庫)「おくりびと」を観た。たぶん、今年最後の一本になるだろう。

この映画を見るまで納棺師という仕事があること自体知らなかった人が多いだろう。僕も知らなかったし、一般的には特別頼まない限り葬儀屋で済ませることが多いのだろうと思う。

納棺師の仕事は様式美の世界だ。動作の一つ一つに繊細な美しさが要求される。一番良かったのは、夫の仕事に反発していた妻役の広末涼子が、夫の仕事をしている時の真剣な表情や、その美しい動作を見て微笑むシーンだった。

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イントゥ・ザ・ワイルド

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]ショーン・ペン監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」を観た。大学を優秀な成績で卒業した青年が、文字通り全てを捨てて、一人放浪の旅に出て、そして孤独に生涯を終えるまでを描いた実話に基づく作品。

作品の完成度、内容的に考えてもアカデミー賞で作品賞や監督賞にノミネートされて然るべき作品だと思うが、無冠に終わったのは意外な感じがする。個人的には「ノー・カントリー」より、ずっと内容の濃い作品だと思うのだが。

一歩間違えば、危ない感じのスピリチャル系にもなりかねないと思うのだが、ショーン・ペンのバランス感覚が良いのか、圧倒的な映像の美しさがそうさせているのか、主人公の青年のストイックさ、若さゆえの弱さ等、全てひっくるめて美しく思える。

彼の行動は、たとえ理由があったにせよ残された家族のことを考えると、決して正当化されるものでは無いと思うが、行動をおこさなかったら、一生抑圧感を味わい幸福を感じられなかったかもと思うと、これでよかったのだと納得してしまう。そう考えるとやっぱりちょっと危ない映画だと思う。

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アラビアのロレンス

アラビアのロレンス 完全版 [DVD]新宿のテアトルタイムズスクエアで「アラビアのロレンス」を観た。名作のリマスタリングは、これまで何本か観てきたが、特にこの作品は基の映像が奇麗なだけに、その恩恵を享受できる。

前半、後半で3時間半以上ある超大作。しかし、テアトルタイムズスクエアの座席は結構狭いので、お世辞にも快適に鑑賞できたとは言えない。

砂漠での戦闘シーンは大迫力。良く言われることだが、いくらCGの技術が進歩したとは言え実写には勝てないということがこの作品を観ると実感できる。ロード・オブ・ザ・リングの騎馬隊シーンもこの作品には及ばない。

この作品を観るのは今回が初めてで、ほとんど予備知識無しに観たのだが、英雄ものでは決してなく、予想していた以上に、主人公の内面的な葛藤と、不遇な運命に焦点をあてた作品だった。失意のうちにアラビアを去るロレンスの焦点の定まらない眼が忘れられない。

莫大な資金を投入して、カタルシスが無い、このような作品が作られることはこの先無いだろうと思う。

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ノン子36歳(家事手伝い)

「ノン子36歳(家事手伝い)」を観た。坂井真紀が×イチで実家で自堕落な毎日を送るダメ女をうまく演じている。世間に対しても自分に対しても不満だらけという感じが、歩き方に集約されている。

彼女の友人のバーのママ役で新田恵利が出ているのだが、エンドロールの出演者を確認するまで気がつかなかった。きつい言い方かもしれないが、やっぱり一度芸能界を離れてしまうと老けかたが一般人並みになってしまう。

この映画で特筆すべきなのは映像がすごくきれいなこと。山の風景とかもちろんだが、ノン子の薄暗い部屋に差し込むカーテン越しのやわらかい光とかすごくいい。

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動物農場

Animal Farm [VHS] [Import]「1984」の原作者として有名なジョージ・オーウェルの同名の原作をアニメーションで映画化して「動物農場」を観た。と言ってもこの作品が制作されたのは1954年。それから50年以上たって、やっと日本で公開されることになったということらしい。

映画の内容は、人間にこき使われる家畜動物が反乱を起こし、農場を動物たちで運営することになるのだが、やがてその動物たちの中からも、他の動物たちを虐げて権力に固執する存在が現る。

旧ソビエトの体制を痛烈に批判した作品で、これだけ古い作品なのに、内容は大人向け。子供に見せるにはかなりシビアなシーンが多いので、泣き出すことを覚悟する必要があるだろう。

この映画はスタジオ・ジブリが配給していて、映画館で貰ったジブリの広報誌に宮崎駿のインタビュー記事が載っていた。この映画を見る多くの人は、搾取される馬の方に自らを投影しがちだが、正社員と派遣社員の立場の違いや、中国や韓国にアウトソーシングしている現状をよく考えると、搾取する立場になっていることを忘れてはいけないという言葉が痛切に感じる。

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ダークナイト

ダークナイト 特別版 [DVD]遅ればせながら「ダークナイト」を観た。確かに評価が高いのも頷ける内容の作品。特にジョーカーを演じてこの作品が遺作となったヒース・レジャーの演技は注目に値される。

罪を犯す行為自体に生き甲斐を感じるジョーカー。悪が存在するために、善の存在であるバットマンを追い求める。

人間の心の弱さにつけこみ、ダークサイドに引き込もうとするジョーカー。その罠に落ちてしまう善の存在であるデント判事と、相手がジョーカーであっても、罪を憎んで人を憎まないバットマンの対比。性善、性悪を試される市民。

善とは悪とはということに関して、ヒーロー映画でここまでつきつめた作品も珍しい。ただ、デント判事が堕ちるところは、もう少し心理描写があった方が良かったのではないかとも思う。スターウォーズIIIのアナキンがダースベイダーになるシーンにも通じる部分があるが、こちらの方が役者が上手い分勝っているとは思うが。

そうかといって深入りしすぎると娯楽映画として成立しなくなってしまう可能性があるので、この辺がぎりぎりバランスがとれるところなのかもしれない。

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ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢

コーラスライン-ニュー・ブロードウェイ・キャスト・レコーディング/映画「ブロードウェイ(音符記号)ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢」サウンドトラック「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」はミュージカル「コーラスライン」のオーディションを受けるダンサー達を追ったドキュメンタリー映画だ。

「コーラスライン」自体も、バックダンサーのオーディションを受ける若者達を主人公にしたミュージカルである。この映画は、元の役がどうやって作られたかを当時の映像と関係者のインタビューで振り返ることで、オーディションを受けるダンサーの役割と心境がより深く理解できるようになっている。

オーディションに受かった人も、落選した人も、ここからがスタートという感じで、すごくポジティブに夢を描いていることが好印象な映画だった。そういう意味では原題の「Every Little Step」の方がより映画の内容を色濃く写していると思う。

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ブロークン・イングリッシュ

Broken English「ブロークン・イングリッシュ」を観た。恋愛下手で、婚期を逃しつつある30代のどこにでもいそうな女性を主人公にした話。

一応ラブストリーの形態をとっているが、彼女の自問自答の心理描写に重点をおいているので、相手の男性との感情のやりとりにはあまり重要でない。宣伝では、ロマンチックなラブストーリー的な売り方をしていて、確かにそういう部分もないことは無いが、ちょっと違うと思う。

いずれにせよ、女性監督が撮った女性向けの映画だと思う。なぜ、男性の僕が観にいったかというと、後半はパリが舞台になっていることと、ジョン・カサヴェテスの娘のゾエ・カサヴェテスの初監督作であることに興味をもったからだ。

中盤ちょっと話がだれ気味なのと、編集のせいか一部話がわかりにくい部分もあるが、確信犯的なハッピーエンドの作り方とか全体的には好印象な映画だった。

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闇の子供たち

闇の子供たち (幻冬舎文庫)

公開が始まって大分たつが、遅ればせながら「闇の子供たち」を観た。東南アジアの人身売買とか幼児虐待とか社会問題を取り上げて、問題提起しようとした意欲は認めるが、映画のできはちょっと空回りしているような気がする。

NGOの活動と、人身売買を告発しようとする新聞記者の活動をドキュメンタリータッチで描いた映像は確かにショッキングだ。心臓移植の話を始めほとんどがフィクションなので、悪い誤解を与えるという意見もあるだろうが、そこは問題提起という意味で解釈すれば、特に悪いとは思わない。

でも、どのエピソードも、なんか中途半端に終わっている気がする。特に後半、派手な銃撃シーンを交えたりして、ドキュメンタリーなのかエンターティメントなのか、何だか良くわからない感じになってしまった。原作はどうなのか読んでいないのでわからないが、もう少しテーマを絞って映画化した方が良かったと思う。今、WOWOWでやっている「プリズナー」というドラマがあるが、あっちの方がエンターティメントに徹していて、潔い感じがしなくもない。

それと、はっきり言って江口洋介はこの役に合っていない。多分に偏見なところはあるが、過去にあのような過ちを起こした人物には見えないのだ。例えば、渡部篤郎とかの方が適役だろう。彼なら、そうかも知れないと納得できる…

あと資金獲得のためのタイアップが必要だったからなのだろうが、桑田佳祐のエンディングテーマ曲も映画の内容に合っていない。「私は貝になりたい」のミスチルも全く場違いな感じがしたが、アーティスト側からは文句は言えないのかもしれないが、なんとかできなかったのだろうか?桑田佳祐やミスチルが悪いと言っているのではなく、もう少し映画の雰囲気に合った曲を選択できると思うのだが。

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容疑者Xの献身

容疑者Xの献身 (文春文庫)「容疑者Xの献身」を観た。テレビドラマの「ガリレオ」は、ちょっと軽薄な乗りについていけず、初回だけ観てそのあとほとんど観ていなかった(忙しくて見る時間がなかったというのもあるけど)。というわけで、映画版も何となく避けていたのだが、大ヒットしているし、評判も良いので、とりあえず観ておくことにした。

確かに、良くできた感動的な話だった。朝一の回で、空いていたというのもあるけれど、久々に映画館で周りを気にせず泣いてしまった。最後の手紙の必要性とか、ひっかっかるところが全く無いわけでは無いが、巧みなトリックによる話の面白さと、堤真一と松雪泰子の巧さで押し切られてしまったという感じ。

ドラマ版とは違って、福山雅治と柴咲コウの余計なやりとりとか、これ見よがしの種明かしの演出とかが無く、事件の当事者二人によりスポットを当てた作りになっている。僕はこの原作は読んでいないけど、いかにも東野圭吾の作品らしい雰囲気がうまく出ていると思う。なので、ドラマ版がだめな僕でも、この映画版は気に入った。

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青い鳥

青い鳥「その日のまえに」に続き重松清原作の映画化「青い鳥」を観た。阿部寛が吃音のある教師を演じているのだが、一所懸命に話す彼の一言一言が心に響く。気がつくと涙が溢れていた。いじめの問題とか、教育とは何かとかを題材にした映画はいくつもあるが、この映画ほどストレートに、真摯に向き合った作品は観たことがない。

国語の先生が吃音という通常は考えられない設定が効いていることも確かだが、彼が背負っている過去とか、言葉では全く説明せず、静かに映像だけで見せたことも、彼の言葉の重さを一層際立たせる。

東京でも公開されている劇場が少なく地味な印象の映画だが、かなりお勧め。まきちゃんぐの主題歌もいい。

知と性,毛布とセックス
知と性,毛布とセックス

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落下の王国

ザ・フォール/落下の王国 (Blu-ray)「落下の王国」という映画を観た。「ザ・セル」のターセム監督の作品。骨折で病院に入院している少女に、同じ病院に入院している役者が自作のおとぎ話を聞かせる。その少女が想像するおとぎ話を映像化したパートと、現実の少女と役者とのやりとりのパートで構成されている。

おとぎ話のパートは、多くの世界遺産を含めた世界中の様々な場所で撮影されているのだが、その映像がすごく美しい。映像に関しては、BD版を買って何回も観る価値があると思う。

ただ、ストーリーと演出に関しては、いまいち盛り上がりに欠けるというか、話にのめり込めないのだ。設定は「パコと魔法の絵本」に近いので、普通に作ればああいう感じの作品になったような気がする。

あそこまでエンターティメントに徹する必要は無いし、そうした方が良かったというわけでもないが、もう少し感情移入できる作りにする必要はあったと思う。

特にラストがすごくいいだけに、とても惜しい気がする。少しひねるだけで、歴史に残る名作になりえたと思うのだが…

あと気になったところで、オープニングタイトルにデビッド・フィンチャーとスパイク・ジョーンズの名前が出ていたので、プロデューサとして参加しているのかと思ったら、そうでは無くて、彼らにインスパイアーされてこの映画を作りましたということらしい。

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天国はまだ遠く

ひとヒナタ(初回限定盤)(DVD付)「天国はまだ遠く」という映画を観た。これは、思わぬ掘り出し物という感じの映画だった。

自殺しに山奥の寒村にやってきたOLが、タクシーの運転手に案内されて民宿に泊まる。その民宿は、両親を交通事故で亡くした男が一人でやっているが、客は彼女の前には3年前にひと組夫婦が泊まっただけ。

そのOLは睡眠薬を大量に飲んで、自殺を試みるのだが、32時間眠っただけで何事もなく眼を醒ます。民宿の男や周りの人たち、田舎の暮らしに触れ合ううちに、彼女の心は癒されていく。

というような、ありがちなストーリーではあるのだけれど、それが決して押しつけがましくなく、すごく自然に描かれているのがよかったと思う。特に主演の二人の演技が良かった。

チュートリアル徳井の役は、一見よくいる田舎の寡黙な青年に見えて、実はすごく重い過去を背負っているという難しい役だ。ユーモアのあるセリフも、シリアスなセリフもすごく自然に上手く演じていた。関西弁も効いている。

加藤ローサが演じるOLの悩みは、本人はすごく気に病んでいるいるのかもしれないが、誰もが経験するようなよくあるもので、はたから見ると大した悩みで無いように見える。ようは、誰もが感情移入できる役どころを演じる必要があるのだが、そういう要求を決して裏切らない演技だった。

加藤ローサとチュートリアル徳井という地味なキャスティングと、予告編のいなたさから、観るのを避けていたのだが、CLUB Cのポイントがかなりたまっていて、月末で金欠(泣)なので無料で観れるし、ということで観に行って良かった。無料で観たうえに、この映画の長澤監督がロッテのチョコレートのCMの監督をやっていて、その販促キャンペーンでチョコレートも貰えたし。

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私は貝になりたい

私は貝になりたい (朝日文庫 は 31-1)中居正広主演の「私は貝になりたい」を観た。この映画は評価が難しい。B級、C級戦犯の扱われ方の理不尽さ知ることができたただけでも、観て良かったと思う。反戦映画として捉えるなら文句のつけようのないできだと思う。

中居正広の演技も、特に後半はなかなか良かったと思う。でも、中居くんが真面目な演技をすればするほど、頭の片隅で、バラエティをやっているときの姿を思い出してしまって、どこか嘘っぽく感じてしまった。

これは、もう仕方がないと思う。コメディアンで真面目な演技をしても気にならない人もいるが、中居くんは、裏表が無い感じというか、人の良さが演技者としての幅を狭めてしまっているように思う。本気で役者に取り組むなら、バラエティはセーブした方が良いのではないだろうか?

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ピアノチューナー・オブ・アースクエイク

モレルの発明 第2版 (フィクションの楽しみ)人形アニメで有名なクエイ兄弟が監督し、テリー・ギリアムが製作総指揮を努めた「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」を観た。実写と人形アニメの合成という程度の予備知識で観たので、どちらかというと人形アニメがメインの映画なんだろうと勝手に思い込んでいた。

人形アニメのシーンはもちろんがあるが実写がメインの作品だった。幻想的な映像の作り方はこれまでに観たことがないもの。ただ、博士を演じた役者の顔とかが、どうも俗物的だし、主人公もいまいちぱっとしないしで、映像の美しさとミスマッチな感じがする。主演の女優はきれいだったけど。

ストーリーは、マッドサイエンティストが、歌声を独り占めしたいがために若い歌手を自分の世界に幽閉するという、江戸川乱歩的な話だが、語り口が複雑で全くストーリーを追えない。難解さ加減では、最近のデビット・リンチより上をいっていると思う。

でも、そもそも、この映画はストーリー自体にはそれほど意味はないと思うので、別に理解する必要はないと思うが、ちょっと気になる。映画館の売店でも販売していたが、一応、「モレルの発明」「ロクス・ソルス」という原作があるようなので、それを読めば少しは理解できるかもしれない。

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その日のまえに

その日のまえに (文春文庫 (し38-7))大林宣彦監督の新作「その日のまえに」を観た。冒頭のシーンは、小さい窓から空を眺めるナンちゃんを、家の外からの視線でズームイン。このカットを観ただけで、大林監督作だとすぐにわかる。ある意味すごい。

去年観た新しい「転校生」よりも、より大林度が高い作品だと思う。余命わずかな妻を見送る家族を描いた作品で、泣かせようと思えば、いくらでも泣かせる演出はできたと思う。最近流行りの携帯小説の映画化なんてほとんどそんな安直な作りだと思う。

あえてそうせずに、残されたものの力強く生きていく姿の方にスポットをあてた本作の方がずっと好感が持てる。そもそも、妻が息を引き取る瞬間は描かれていない。このシーン、原作が気になったので、本屋で立ち読みしてみたが、原作でも映画と同様だった。

大林色が強くて、恐らく原作のファンの中には受け入れられない人も多いのではないかと思う。でも、このシーンを比較する限りにおいては、作品の本質的な部分での食い違いはないと断言しても良いだろう。何年か後にでも、原作者の重松氏の本音をぜひ聞いてみたい。

あと、原作では「ヒア・カムズ・ザ・サン」という聖歌が、映画では宮沢賢治の「永訣の朝」という詩にクラムボンが曲をつけた歌におきかえられている。しかも、劇中のミュージシャンの名前がクラムボン。宮沢賢治に置き換えるのは良いとして、クラムボンが曲を作ったからって、それをそのまま役名にするのはやりすぎだろうと思っていたが、映画の後半でその謎が明かされてすっきりした。

クラムボンが歌う宮沢賢治の歌詞も、クラムボンという名前も、何となくフランス語っぽいのだけど、そうじゃないところが面白いと思った。

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アメリ

アメリ (Blu-ray Disc)ユナイテッドシネマ豊洲で「アメリ」を観た。以前、レンタルで観たことはあるが、映画館では初めて見た。この映画は単館公開で予想外のヒットとなったわけだが、なぜ予想外だったかというと、「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」の監督の映画が間違っても女性に受けるとは、配給会社も思っていなかったからだろう。

「デリカテッセン」も個人的には、「アメリ」と本質的には変わらないラブストーリーだと思うのだけど、世間ではグロの要素ばかりにスポットが当たっていて正しく評価されていないと思う。

「アメリ」もブラックユーモアはあるが、それも女の子が好きそうな種類のものになっていているところが広く受け入れられた理由の一つだろう。映画館で観ると、ジュネ監督特有のどこか幻想的で影のある映像の美しさをより堪能できた。アメリが水切りをするサンマルタン運河は、パリで実物を見てきたが、この映画の中のシーンほどきれいなものではなかった。

近々ブルーレイ版が出るようなので買おうかな。っと、その前にプレイヤーかレコーダを買わないと。

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Famille【ファミーユ】~フランスパンと私~

「Famille【ファミーユ】~フランスパンと私~」という映画を観た。萩原流行、坂口良子といったメジャーな役者が出ているのだが、ほとんどの出演者は新人と思われる。おそらく監督も。限りなく自主制作映画に近い。

脚本、演技、演出、メイク、すべてつっこみどころ満載。フランスロケがあるということだけで、見に行ったのだが、はたして、フランスロケする必要があったのかも疑問。恐らく、ビデオ撮影で、プロジェクター上映のためか、室内シーンはなんか暗い。家のプロジェクターで観た方がまだましかも。

世間には、オーディションの合格者から授業料だけとって、まともに授業もしないような芸能プロダクションも多いと聞くが、そんなところに比較すと、こうやってちゃんと映画を作って、映画館で公開しているだけでも立派だとは言えるだろう。

でも、お金をかけなくても、もっと面白いものはできると思うのだけれど。「運命じゃない人」なんてその良い例だ。何より、タイトルにフランスパンと入っているので、もっとフランスパンにまつわるエピソードが語られるのかと期待していたのだが、あんまりなかったのが不満。萩原流行演じる父親と、パリにあるパン屋との関係が良くわからないのが脚本上の最大の欠点だろう。

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イエスタデイズ

FINE DAYS (祥伝社文庫)

「イエスタデイズ」という映画を観た。癌に冒された余命幾許もない父親から、昔の恋人とその恋人との間にできた子供を探してほしいと頼まれる息子。

この映画のポイントは、主人公の青年がタイムスリップすることによって、父親の青年時代と対峙することだ。青年時代画家を目指していた父親が描いた絵と同じ場所に行って、その絵を見ると、父親が恋人と暮らしていたころにタイムスリップする。青年は、当時の父親と恋人と友達になって、二人が別れた理由を探ろうとする。

なぜタイムスリップできるかとか、タイムパラドックスとかというSF的な要素は全く語られない。自分と父親が同じ年齢になることで、反発していた父親の気持ちを徐々に理解できるようになっていくというところが本筋で、タイムスリップはそのための道具でしかない。

父親の青年時代を演じた和田聰宏が、長髪を切ったせいか、いつものイメージとは違って、好演していたと思う。マイナーな作品だが、なかなかいい話だった。

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アキレスと亀

北野武監督作品「アキレスと亀」オリジナル・サウンドトラック北野武監督の「アキレスと亀」を観た。簡単に言うと、売れない画家と、その妻の夫婦愛の話だが、それ以上に、ゲイジュツとは何かということについて深く考えさせられる映画だった。

北野武演じる画家の真知寿は、大森南朋が演じる画商に、絵を売りに行くのだが、その度に酷評される。画商の言葉を鵜呑みにして、新しいことにチャレンジするのだが、努力は空しく空回りばかり。

一方で、画商は酷評した絵をちゃっかり他人に売りつけている。真知寿の芸術学校の仲間は、彼と同じようなことをしながらも、海外で大成する。売れるか売れないかは紙一重。芸術性とビジネスは別物。

なんとなく小室哲哉のことを考えてしまった。彼の弁護をするわけではないけど、売れなくなってからは、この映画の画商のような輩に搾取され続けていたのではないかと…

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ホームレスが中学生

どうなるの?ニッポン「ホームレスが中学生」という映画を観た。「ホームレス中学生」では決してない。

中学校に、義務教育を受けていなかったとかいう理由で、ホームレスが入学してくる。なぜか学期の途中で。映研の3人の学生が、そのホームレスのドキュメンタリー映画を撮ろうとするのだが、親に反対されたり、抵抗にあいながらも、彼と生活を共にすることで、現代社会の矛盾点とかに気付くというような、好意的にとればそんな内容の映画だ。

ホームレス役の俳優は、現役ホームレス芸人とかで、それが売りになっているような、ある意味際物映画ではあるけでも、このタイトルを思いついて映画を作ったことだけで、賞賛に値すると思う。はっきり言って、タイトルが全てです。本家と同じ日に公開できたというのも、すごい。

テーマ曲を、主演のうつのみや八郎氏が歌っているのだが、何ともとぼけた調子の曲で、妙に耳に残る。AmazonでこのCD(上の写真をクリック)を検索して思わず笑ってしまった。“この商品を買った人は他にこんな商品を買っています”に表示されているのが、ほとんど小池徹平とかWaTの関連商品だった。まんまと、だまされてるやん!小池徹平ファンが届いたCDを聞いたときの顔を見てみたい。

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岩井俊二 X 行定勲 トークショー

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?昨日はシネマヴェーラ渋谷に岩井俊二と行定勲のトークショーを見に行った。岩井俊二の特集上映のイベントとして行われたもの。赤坂で昼御飯を食べながらMovieWalkerを見ていてあることを知って、あわてて渋谷にかけつけた。

渋谷に着いたのは1時30分くらい。トークショーは5時からだったので、その前後の券を買えば良いだろうと勝手に思っていたが、チケット売り場で聞くと、確実に見るには2時からの回で入場した方が良いとのこと。

そう、シネマヴェーラ渋谷は、定員入れ替え制では無い。「打ち上げ花火」と「Love Letter」の2本立て上映で、1本ごとに休憩が入るので、どちらか先に観ても良い。2時から2本続けて観ないと、5時からは満席で入れない可能性があるということだ。

ほんとにたまたまだが、2時前のグッドタイミングに着いて良かった。2時の回から、ほぼ満席。5時前に「Love Letter」が終わっても席を出ていく人は、当然ながらほとんどいないので、次の回の客が大量に入ってきたが当然席はなく、階段と後ろの通路に人の山。恐らく入場制限で入れなかった人もいただろう。係りの人の手際が良かったのか、特に混乱は無かったと思う。

トークショーは「Love Letter」の撮影裏話とか聞けて面白かった。トンネルのシーンの嘘とか、酒井美紀が氷で滑るシーンのひらめきとか。行定監督が、岩井俊二と自分との違いは、岩井俊二は作家で、自分は監督であると言っていたが、確かにその通りだと思った。

「打ち上げ花火」を映画館で観たのは、95年なので13年振りに観たことになる。フィルムが古いせいか、最初の方、画質が悪いのが気になったが、すぐに物語にひきこまれる。1時間枠のテレビドラマだが、ほんとにこの作品を越えるものはこの先テレビではできないのではないかと思う。

「Love Letter」も今年2回目の映画館での鑑賞。シネアミューズでの上映はニュープリント版だったが、今回はそうじゃなかったようだ。せっかくなので、ニュープリント版でやって欲しかった。でも、この映画は、ワイドスコープなので映画館で観てこそ、本当の良さがわかると思う。

トークショーの初めに行定監督が、大入り満員の客席を観て、「すごいですね。人気があって良かったですね。岩井さん。」と言って笑いをとっていたが、おそらくリアルタイムでは観ていないと思われる若い観客も多かった。そういえば、95年に「打ち上げ花火」を扇町ミュージアムスクエアで観た時も毎回立ち見が出ていた。

岩井監督も最近はどちらかというとプロデューサー業の方に熱心なようなだが、一部の人に受ける面白い映画を撮れる監督は結構出てきているが、岩井俊二を超えるメジャー系の映画が撮れる若手がなかなか出てきていないように思う。

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日産OTTIのCM

日産の軽自動車OTTI(三菱ekワゴンのOEM)のCMが気に障る。「OTTI」の文字をアレンジしたキャラクタに、哀川翔とDAIGOが声をあてているらしいのだが、DAIGOの口調がすごく不快。

DAIGO自体は、普段テレビで見ているときは、ああいうしゃべり方も、キャラクタとして許せるので特にいやな感じはしないが、声だけ聞くと嫌悪感しか残らない。いや、DAIGOだと明らかにわかっていたら、不快感は大分和らぐかもしれないと思う。

哀川翔は声だけ聞いてもすぐにわかるのだが、DAIGOの声にはそこまでの個性がないので、気がつく人は少数派だろう。人選ミスというか、DAIGOとわかるような作りにした方が良かったのではないか?

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東京国際映画祭終わる

Dsc00005 今週の日曜日で東京国際映画祭も終わった。この写真はSO706iの画質の悪いカメラで撮ったのでなんだかよくわからないが、グランプリを受賞した「トルパン」の監督が最優秀監督賞を受賞した瞬間。

授賞式は渋谷のBunkamuraで開催されていたが、六本木ヒルズのメインステージで中継されていたのを撮影した。

僕の予想通りと言うか、「アンナと過ごした4日間」も審査員特別賞を受賞した。

それにしても、東京国際映画祭は、毎年大きく報道されるのは開会式だけで、その後は全く盛り上がらない。作品の選定とか、運営方法とかそろそろ見直すべきだと思う。

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東南角部屋二階の女

渋谷のユーロスペースで「東南角部屋二階の女」を観た。西島秀俊演じる主人公は、父親が残した借金を返済するために、祖父の土地と、古アパートを売却しようとするのだが…

ひょんなきっかけで、加瀬亮演じる同僚と、お見合い相手の竹花梓がアパートに転がり込んできて、売るに売れなくなる。そのアパートは祖父の知り合いの料理屋の女将が管理しているのだが、実はその女将は…

映画のタイトルになっているアパートの東南角部屋はあかずの間になっていて、加瀬亮が押入れの穴からとなりを覗こうとする。ユーロスペースのもう一つのスクリーンでは、同じく西島秀俊主演の「真木栗ノ穴」をやっていたが、たまたまなのかもしれないが、隣の部屋を覗き見するところに類似性がある。「真木栗ノ穴」は去年の東京国際映画祭で観たのだが、一年たってようやく公開となったようだ。

設定が似ているので、「真木栗ノ穴」同様ちょっとホラーじみた話かと思ったが、そんな要素は全くない、ハートウォーミングな話だった。竹花梓は、「DISTANCE」とか「ゆれる」とかに出演していたそうだが、ちょい役であまり印象は残っていない。主役に近い役で演技をするのは本作品が初めてではないかと思うが、自然な感じがなかなか良かったと思う。

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東京国際映画祭:「アンナと過ごした4日間」「THE CODE/暗号」

東京国際映画祭で、「アンナと過ごした4日間」と「THE CODE/暗号」を観た。

「アンナと過ごした4日間」は、ポーランド人のイエジー・スコリモフスキー監督が17年振りに撮った映画で、コンペティション部門に出品されている。夜な夜な向かいの看護師寮に住む女性の部屋に忍び込むストーカーが主人公の映画だが、全体的に暗めのトーンでありながら、どこかユーモラスで、なかなか面白かった。他の作品を観ていないので、確信は無いが、何らかの賞はとりそうな気がする。

「THE CODE」の方は、林海象監督の「探偵事務所5」シリーズの映画版で、DVD版よりはお金がかかっていることは確かだが、いつものパターンだ。このシリーズは、濱マイクと違って毎回主人公が代わるのだが、かといって主人公の個性をアピールできているわけでもない。やっぱり濱マイクに代わるニューヒーローを一人決めた方が良かったのではないだろうか?

両作品とも監督のティーチインがあったが、質問に対して、一言二言しか答えないイエジー・スコリモフスキー監督と、聞かれたことの数倍答える林海象監督とで対照的だった。

毎年、東京国際映画祭のチケットは、ぴあでネット購入しているが、チケット発券の手数料が300円程度かかるのが、どうも腑に落ちない。どう考えても窓口販売の方が人件費がかかると思うのだが。販売枚数の少なさを考えると、実質、ネットで買うしかなく、手数料を入れても1800円しないので、一律1500円とかにしてくれた方がすっきりすると思う。

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オペラ座の怪人

オペラ座の怪人 通常版今年新宿にオープンした新宿ピカデリーで映画「オペラ座の怪人」を観た。オープニングの、テーマ曲に合わせて、オペラ座がモノクロからカラーに変わっていくシーンは良かった。あの豪華な内装が完全に再現されていて、セットに関しては文句のつけようがない。

でも、話はラブ・ストーリーの部分を強調しすぎたせいだろうか、いま一つ、ファントムが背負った不遇とか、孤独さとかが伝わってこないので、薄っぺらく感じられる。

Opera_skelton その点では、オペラ座の怪人を、現代にアレンジした、ブライアン・デ・パルマの「ファントム・オブ・パラダイス」の方が圧倒的にいい。元のミュージカルとはまったく別物になっていると思うが。

オルセー美術館には、オペラ座関連の展示がある。中でも断面模型は面白い。これを見ると、ステージは観客席と同じくらいの奥行があって、天井もかなり高いことが良くわかる。

それと、映画のオペラ座の外観は、現在のオペラ座とは違っていた。映画では、正面玄関の1階部分がアーチ状に出っ張っていて、玄関を囲んでコの字型の建物になっている。オペラ座の正面向かって左側には、通用門があって、スロープになった車止めがあるが、そことも違うように見えた。増築前の外観はああだったのだろうか?

Opera_ceiling それと、映画に出てくる天井画は、現在のシャガールの絵が描かれる前のものだった。昔の天井画の縮小版が、オルセー美術館に展示されていた。

映画の感想より、オペラ座の話の方が長くなってしまったが、映画の内容も、そんなところです。

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東京国際映画祭始まる

Dsc00004 東京国際映画祭が始まった。夕方、六本木ヒルズへオープニングセレモニーを見に行った。月曜日と火曜日の夜はチケットを予約したが、土日は予約が間に合わなかったので、今日はセレモニーを見ただけ。

5時頃についたので、セレモニーはすでに始まっていて、けやき坂通りはすごい人だかり。メインステージの席は当然満席で。両脇にもかなりの人だかりができている。でも、何とかステージに比較的近い位置で、前の人の頭の間から、見える位置をキープすることができた。

今日ほど多くの芸能人を見た日は無い。宮崎あおい、金城武、松雪泰子、高橋克典、キム兄、佐藤浩市、クドカン、佐野史郎、渡部篤郎、高岡早紀、小池徹平、池脇千鶴、トニー・レオン、宍戸錠、大林監督、林海象監督、数え上げたらきりがない。そして、麻生首相も。

今年は、レッドカーペットでは無くてグリーンカーペット。トヨタがスポンサーで、ステージの両脇や、六本木ヒルズ内のいたるところで、iQが展示されていた。

終わりに近づくにつれて、道沿いで観ていた人も、ステージの周りに集まって来て、気がつくと背後 も人でいっぱいで身動きとれない状態になっていた。後ろの方にいるおばさんが見えない、見えないと文句を言っていたが、どうなるものでもない。

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20世紀少年

ナビゲートDVD「20世紀少年」秘密大図鑑 上巻映画版「20世紀少年」を観た。人間関係がとにかく複雑な原作をうまくまとめていて、映画としてのラストの盛り上がりも欠くことなく、良かったと思う。原作を読んでいない人には、登場人物が多すぎてわかりにくいことは確かだが、原作を初めて読んだ時もわかりにくかったので、これは仕方がないかも。

“神様”と“チョーサン”については、もう少し説明が欲しかったと思うが、それをやると3時間を超えてしまうだろう。

とにかく、原作のイメージがそのまま映像化されているので、それを見るだけでも価値はあると思う。あと、子役が大人になった時の顔とそっくり。短いシーンだが、ドンキーの奥さん役の、洞口依子が印象的だった。

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トウキョウソナタ

トウキョウソナタ(竹書房文庫た1-1) (竹書房文庫 た 1-1)黒沢清監督の新作「トウキョウソナタ」を観た。久々にホラー映画ではなく、今回は、家族の崩壊と再生を描いた映画だ。

ただ、相変わらず、ちょっと変な設定と演出がユニーク。そして、やや強引で、とってつけた感がありながらも、圧倒的に感動的なラストシーン。黒沢監督ならではの、空気感。ぜんぜん、作品の内容は違うが、「CURE」を思い出した。

実力派の役者を揃えているので、演技も見ごたえがある。特に、小泉今日子の何気なく見せる表情が印象的だった。すっかり演技派女優になってしまった。あと、井川遥も相変わらずいい。この人も、グラビアアイドルの頃の演技は酷評されていたが、どんどん上手くなっている。

あと細かいことだが、強盗役の役所広司に脅されて、小泉今日子が運転して、逃走するときに乗っている車がプジョー207CCというのがいい。こういう時に乗る車は、間違ってもドイツ車ではいけない、やっぱりラテンの車がいい。

つっこみ所としてもう一つ。小泉今日子がディーラーで観る車が、日産のマイクラC+C(マーチのオープンカー)だ。営業マンが、「これすごく人気があるんですよ。」と言っているが、絶対嘘だ。

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パコと魔法の絵本

ガマ王子対ザリガニ魔人―パコと魔法の絵本中島哲也監督の新作「パコと魔法の絵本」を観た。僕は「下妻物語」が大好きで、車を飛ばして牛久大仏を観に行ったほど。前作の「嫌われ松子の一生」もなかなか良かった。

それで、今回の「パコと魔法の絵本」。ストーリー自体は単純でとても楽しくて、かつ涙腺を刺激する、盛りだくさんの内容の映画になっている。特に実写からCGに切り替わるシーンは、ともすれば不自然な感じになってしまう危険性があると思うが、本作はとてもうまく融合させていると思う。

ただ、ギャグとか、泣かせるシーンとかについては、どちらかというと脚本よりも役者の力量によるところが大きい気がするのが不満。その点に関しては、「下妻物語」は、役者の持てる力以上の物を引き出していて、良かったと思う。より幅広く受け入れられのは、本作の方だと思うが。

あと、amazonで調べたら、映画に出てくる「ガマ王子対ザリガニ魔人」の飛び出す絵本は実際に発売されているようだ。ただし、現在品切れ状態で、古本でプレミアム価格がついて、3980円の定価が何と23000円!

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地球でたったふたり

映画「地球でたったふたり」を観た。幼い頃から、父親の虐待に合いながらも、仲良く育った異母姉妹。家庭の境遇に耐え切れず、ついに二人は家出をする。

ヤクザの裏帳簿が入ったカバンを盗ったことで、ヤクザから追われるはめになる二人。彼女らをかくまう中年のヤクザや、その仲間たちとの交流が二人を癒す。中年のヤクザもまた二人に癒される。

低予算で、無理のある設定や、強引な展開もあるが、姉妹を実の姉妹が演じていることが関係しているのかどうか、力強く生き抜く二人の姿が感動的ないい作品だった。

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赤い風船/白い馬

Red Balloonパリに行く前に、「赤い風船」と「白い馬」を観た。「赤い風船」は、パリを舞台に、孤独な少年とまるで生きているかのように振る舞う風船との触れ合いを描いた映画だ。1956年のカンヌ・パルムドール受賞作なので、かなり古い映画だが、今回リマスタリング版ができたので、再上映となったらしい。案の定、DVDがもうすぐ発売される。

セピア色のパリの街並みに、風船の赤がすごく印象的。この赤色を出すために、風船を2重にしているとパンフレットに書いてあった。

「白い馬」は、走る馬を並行して撮影したシーンに驚かされる。現在なら、撮影機材が進歩しているのでさほど難しくないのだろうが、50年以上前の技術でどうやって撮影したのだろう?

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「深夜 テレビ フランス 映画 女 殺し屋 雨 エロ」=「殺意の夏」?

Satsuinonatsu_2 ブログのアクセス解析を見ていて気になるキーワードがあった。“深夜 テレビ フランス 映画 女 殺し屋 雨 エロ”。ここまで細かく指定しているということは、探している人はかなり気になっているのではないだろうか?残念ながらこのブログには答えはない。僕が、このキーワードで思いついたのは、イザベル・アジャーニ主演の「 殺意の夏」。

大阪に住んでいたころ読売テレビでやっていた「シネマ大好き!」という深夜の映画特集で観た記憶がある。

ストーリー はよく憶えていないが、とにかく面白かったことと、イザベル・アジャーニが魅力的だった印象は強く残っている。キーワードにある、「殺し屋」とは違うし、「雨」のシーンがあったかどうかも記憶がないので、全然違う映画がかもしれない。でも、「殺意の夏」はまた見直してみたくなった。

P.S. 後で思いついたのだが、正解はリュック・ベッソン監督の女版レオン「ニキータ」かもしれない。こっちの方が、“殺し屋”というキーワードにはぴったりくる。

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スカイ・クロラ

スカイ・クロラ ナビゲーター押井守監督の新作「スカイ・クロラ」を観た。「甲殻機動隊」とか「パトレーバー」とか特に思い入れはないのだけれど(でも、ビューティフル・ドリーマーはかなり好き)、映画館の予告編の空中戦シーンのすごさに圧倒されて、観たくなった。

原作の小説も、映画化が決まる前から気になっていたというのもある。原作を読んでいないので、断定できないのだけれど、舞台背景がほとんど説明されないわりには、わかりやすく構成されていると思う。

喪失感を表現するためか、淡々と進むストーリー。戦闘シーンについても、映像美にはこだわっているが、観ていて熱くなるような演出は無い。CGを駆使した実写のような戦闘シーンと、普通のアニメーションの人物の組み合わせは、違和感が無いといえば嘘になるが、これで人物もCGだったら全く感情移入できなくなるので、これはこれで良いと思う。

欲を言えば、飛行機がもう少しCGを感じさせない絵になっていれば良かったと思う。いずれ、技術の進歩が解決してくれるだろうと思う。

原作は何作か出版されているが、映画は1作で完結するようにしたためか、ラストが原作とは違うらしい。映画を観て、若干辻褄合わせがあるように感じたので、原作も読んでみたくなった。

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ぼくの大切なともだち

ぼくの大切なともだち オリジナルサウンドトラックパトリス・ルコントの新作「ぼくの大切なともだち」を観た。仕事仲間から、君には本当の友達がいないと言われた美術商が、友達がいることを証明することと、オークションで落札した壷とを賭ける。

彼は、たまたま乗ったタクシー運転手に、友達の作り方を教えてもらいながら、次第に、そのタクシー運転手と仲良くなっていく。独善的な美術商と、お人好しだが、あがり症でクイズおたくのタクシー運転手の関係が、ほほえましい。

心温まるいい話で、最後はちょっとどきっとする展開もあって、良くできた小品という感じの映画だった。実際、観た人の評価も高いようだ。その理由の一つが、タクシー運転手が、出演するクイズ番組が、フランス版クイズミリオネアというところにあると思う。ミリオネアのルールが、すごく効果的に使われている。笑えるシーンが結構多い映画だが、このクイズシーンが一番受けていた。これが、フランスでしかやっていない番組だったら、日本人にはぴんとこなかっただろう。

イタリアでも、ミリオネアは、毎日やっているくらいの人気番組だったが、万国共通に受ける番組というのもなかなかない。ミリオネアを誉めてもしかたないのだけれど、特に、フランス映画好きとか、ルコント好きとかの人でなくても、楽しめるいい映画だと思う。

逆に、恋愛もののルコントが好きな人には、良い話しすぎてちょっともの足りないかもしれない。僕は、どちらかと言えば、後者の方だ。

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百万円と苦虫女

百万円と苦虫女

蒼井優主演の「百万円と苦虫女」を観た。百万円たまるたびに、住むところを変えて、地方を転々とする、21歳の女の子が主人公のロードムービー。

人付き合いが苦手で、自分の気持ちをうまく表現できず、なんとなく周りの雰囲気に流されやすい彼女が、ある事件を起こしたことをきっかけに、家を出ていく決心をする。

彼女には弟がいるのだが、その弟は彼女がおこした事件をきっかけに、同級生からいじめられるようになる。彼女は、行く先々でトラブルに巻き込まれて、その場にいずらくなる。

そんな彼女だが、弟がいじめられることに負い目があるのか、旅先から、自分の近況と弟をはげます内容の手紙を書く。たいした内容の手紙ではないのだけれど、逆にそれがいい。弟にとって姉は、最初の方では邪魔な存在でしかなかったのだけれど、尊敬すべき存在に変わっていく。

彼女の周りの人とのぎくしゃくした人間関係も、最後までそのままなんだけど、なんとなく成長しているようなというか、未来を感じさせるラストになっているのが良かった。

そんなわけで、観る前はもう少しコメディ色の強い内容を想像していたのだけれど、意外にストレートな成長ストーリーでもありラブストーリーでもある映画だった。それにしても、蒼井優は細い。

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ハプニング

M・ナイト・シャラマン監督の新作「ハプニング」を観た。相変わらずのトンデモなストーリーだが、今回は、かなりまともな方だろう。

アメリカ東部を襲った原因不明の災害(?)から、逃げる夫婦とその友人の娘3人を中心にした話だ。その災害が何かというのがポイントなんだけど、そこはいつものシャラマンで、最後まで良くわからない。

でも、そのことに関しては、僕は、これでいいと思う。納得できないという人が多いとは思うが、この映画の登場人物のセリフにあるように、世の中何でも説明がつくことばかりではないというのは、その通りだと思うから。

追いつめられるシチュエーションと、その過程で、夫婦の仲を取り戻していくという、ある意味、王道のストーリー展開を、シャラマン節でやったらこうなりましたという作品。ただ、「ハプニング」というタイトルは、ちょっとシンプル過ぎるのでは?特に日本人には、内容から受けるイメージとちょっとずれているのではないかと思う。

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8 1/2 完全修復ニュープリント版

8 1/2 愛蔵版

フェディリコ・フェリーニの「8 1/2 完全修復ニュープリント版」を観た。

「8 1/2」は、かなり昔に深夜にテレビで放送されたときに観たことがあるのだが、深夜ということもあったが、話が良くわからなくて途中で寝てしまった記憶がある。

今回、完全修復版が劇場公開されることになったので、リベンジというわけでもないけど、名作の誉れ高い本作を見直してみることにした。結果、今回も途中で何度か意識が遠のいてしまった。

映画監督の妄想の話なので、一本筋の通ったストーリーらしいものは無いのだが、その映像の美しさを観るだけでも十分価値があると思う。ラストの発射台のシーンの幻想的、かつハッピーな雰囲気とかすごくよかった。このシーンをお手本にしたと思われる映画を、いくつも思い出した。

最近、こういう名作の復刻版が多く公開されているが、いずれも興行的にはかなり上手くいっていると思う。シアター・イメージフォーラムの地下深く伸びる階段は、人で溢れかえっていた。10年後くらいに、また見直してみたい。

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クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ オリジナル・サウンドトラック昨日から公開が始まった「クライマーズ・ハイ」を観た。23年前の日航機墜落事故を取材する地方新聞社が舞台の映画である。

新聞社内の切迫した状況や、墜落現場の陰惨な状況がとにかくリアルに描かれている。いかに、リアルに当時の状況を再現するか、それがこの映画の全てであり、その意味では大成功していると思う。原田監督は、こういう社会派映画のリアルなシーンの再現が本当に上手いと思う。

ただ、脚本については、ちょっと難ありだと思う。堤真一演じる主人公と、新聞社の社長や同僚との対立や、部下との信頼関係等が軸になっているのだが、それ以外にも様々な周辺のストーリがあって、それらが全て消化しきれていない。

息子との間の精神的な溝や、事故の当日一緒に山登りに行く約束をしていたが、事故のために行けなくなり、そのせいで脳内出血で植物人間になってしまった友人との関係等。意図はわかなくはないが、説明が不十分なのか、主人公の気持ちが上手く伝わってこない。

2時間半ほどの長尺であるのだが、原作の話をとにかく全部入れようとしすぎたのではないかと思う。特に友人との話はばっさり切り捨てるか、登山シーンがより活きるように話を変えた方がよかったのではないかと思う。

全編を通しての緊迫感を味わうだけでも十分観る価値がある映画なだけに、おしいと思う。

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Love Letter

Love Letter 【劇場版】今日の東京は一日中雨だった。そろそろ、バーゲンシーズンなんだけど、出かけるのも鬱陶しいので昼間は家で、たまっていたスピリッツを読破する。「OMEGA TRIBE」も終わってしまったし、もうスピリッツは読まないと思う。

昨日から、岩井俊二の「Love Letter」がニュープリントで再上映されていので、渋谷までレイトショーを見に行った。公開されたのは、1995年なので、もう13年も経つのだけれど、邦画で一番好きな映画が何かと聞かれたら、今でも「Love Letter」と答える。

公開当時、今は亡き扇町ミュージアムスクエアへ見に行ったときのことを思い出す。とても小さい映画館で、連日立ち見客が出ていた。最前列で観てちょうどいいくらいにスクリーンは小さかった。この映画が公開されるまで、岩井俊二のことは知らなかったが、深夜にやっていた「岩井美学」という番組で、「打ち上げ花火」や他の作品を観て、興味を持った。

DVDも買ってもっているし、ほとんどのシーンを覚えているけれど、映画館で久しぶりに観て、すごく新鮮な気持ちでまた感動がこみあげてきた。いろいろ好きなシーンはあるけれど、酒井美紀演じる藤井樹の父親が亡くなったことを知って、申し訳なさそうに「ご愁傷様です。」という男の藤井樹に、酒井美紀がはにかんで笑うシーンが何とも言えない。

ニュープリントということもあって、映像はすごくきれい。今回の上映は、撮影監督の篠田昇氏の没後4年の展覧会の連動企画だったらしいが、この独特の映像があってこその作品で、岩井作品と篠田氏のカメラは切り離して考えられない。

REMEDIOSのサウンドトラックもすごくいい。映画音楽で何が好きかと聞かれても、やっぱり「Love Letter」と答えるだろう。(どうでもいいことだけど、当時僕は、好きな女性のタイプはと聞かれたら、Love Letterに出ている中山美穂と答えていた…)

映画に出てくる女子中学生のスカートが長いところは、時代を感じさせる。小樽という地方を舞台にしていることもあるが、今でもあんな純情な中学生を主人公にした映画は成り立つだろうか?そもそもラブレター自体が今の中学生には無縁だろう。

先日、テレビを見ていたら、グラビアアイドルのアッキーナは、好きな人にはメールで告白されたいと言っていた。インタビュアーが手紙じゃだめと聞き返したが、手紙よりメールがいいと答えていた。1995年には、携帯メールはなかったし、PCメールを使っていたのも、仕事で使う必要がある人ぐらいだろう。映画の中の中山美穂は、ワープロで手紙を書いている。

この映画は、時代が変わっても変わらない普遍的な良さがあると思っているのだけれど、はたして今の中学生が観るとどう感じるのだろう?

そんな感想はさておき、僕にとっては、プライベートなことでも、思い入れの深い映画なので、この先、再上映される機会があれば、また見に行くと思う。

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世界で一番美しい夜

スズキコージズキンの大魔法画集昨日は渋谷で「世界で一番美しい夜」を観た。内容は、一見ナンセンスなエロティックコメディなんだけど、古事記とかの古典をベースにしつつ、テロとか最近の社会情勢をも反映した思想的な背景もあって、一言で表現するのが難しい。

ストーリーは、日本一の出生率を誇る村の秘密について、その村に住む少女が語るという形式をとっている。都会から左遷された新聞記者が、村には不釣り合いな美人のバーのママの謎について探っているうちに、一人船で暮らすテロリストが関係してきて、突拍子も無い結末のテロ(?)に繋がっていくというのが話のメイン。

そこに、色々癖のあるキャラクタの登場人物がからんできて、上映時間2時間40分の長編を、最後まで退屈せずに見られることは事実。バーのママを演じる宝塚出身の月船さららも、よくこんな役をOKしたなという感じ。石橋凌も、昔の渋さはどこへいってしまったのか?最初の登場シーンから場内爆笑。(東京なので、声をたてて笑う人は少ないが、僕も含めて心の中で爆笑していたと思う…)

神戸浩は久々に見た気がするが、この人はいくつになっても見た目が全然変わらない。年齢を調べてみたが、かなり昔から出ているので、もっと年をとっているのかと思っていた。今の見た目は、年相応だと思う。

時折挿入されるスズキコージによるアニメーションが効果的だ。上の絵本は、この映画とは全く関係ないが、スズキコージの作品を参考に入れてみた。実写のシーンは、安っぽいといえば、それまでだ。でも、もっとアートっぽいものを目指していたけど、結果的にこうなってしまったのか、それとも意図してこうしているのか、よくわからないことが、逆に個性的とも言える。

話の内容も、映像的にも光るところがあるのだが、なんとなくアンバランスな感じが、複雑な余韻を残す作品だ。

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ユメ十夜

ユメ十夜WOWOWで「ユメ十夜」を観た。夏目漱石の原作を、10人の監督が撮った10話のオムニバス映画だ。

たいして評判にはならなかった作品なので、あまり期待はしていなかったけれど、松尾スズキ監督の6話は面白かった。

運慶が彫刻を彫るところを見せるというので、ある男が見物に行く。ブレークダンスを踊りながら運慶が登場。実は運慶は、彫っているのではなく、木を割ると中から掘られた像が出てくるのだが、その様子をずっとダンスで見せる。スピード感のあるカメラワークと、ブレークダンスが見ていて気持ちがいい。見物人のセリフは、何故か2ちゃんねる用語。

松尾スズキ監督で、町田康原作の「パンク侍、斬られて候」を映画化してくれないかなあ。

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山のあなた 徳市の恋

山のあなた 徳市の恋石井克人監督の新作「山のあなた 徳市の恋」を観た。しかしながら、今回は正当に評価することができない。なぜかというと、半分くらい寝てしまっていたから…

決してこの作品が退屈だったからという訳ではない。言い訳すると、体調が悪かったので、病院へ行って薬を処方してもらってきたのだが、眠くなる薬を飲んだ直後に観たからだ。

映画の内容は、この前観た「ヤーチャイカ」よりも癒し系だ。山の映像や温泉街の映像は観ているだけで、心が安らぐ。主人公徳市の優しさと、ほどよいユーモアそれで十分な映画だ。徳市の恋というタイトルがついてはいるが、どきどきするラブストーリーではなく、恋というよりは愛という感じ。

石井克人監督というと、デビュー作「鮫肌男と桃尻女」を観た時はかなりの衝撃を受けた。特に元若人あきらの我修院達也や、鶴見辰吾の怪演ぶりに。そういう意味では、この監督は、役者の魅力を引き出すのがうまいと思う。

本作品は、古典のリメイク作品なので、これまでの作品のようなサブカルな雰囲気は全くない。でも、前作の「茶の味」のほのぼのした雰囲気のみを抽出したような感じで、これはこれで味があっていいと思う。半分くらいは寝てしまったので説得力のない感想ですが...

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ヤーチャイカ

ゼロになるからだ「ヤーチャイカ」という映画を観た。最近忙しくて、映画の感想くらいしか書けない。そんな忙しい人こそ、この映画を観て癒されてほしい。僕は少し癒されました。

「千と千尋の神隠し」の主題歌を作詞した、詩人の覚和歌子の映画のタイトルと同名の詩を原作に、やはり詩人の谷川俊太郎と共同で監督をした映画である。

この映画が普通の映画と違うのは、映像は全て静止画の写真で構成され、登場人物のせりふは全くなく、すべて詩の朗読とナレーションでストーリーが説明される。

ストーリー自体は単純で、自殺願望のある男が、山の中で一人で天体観測をしている女性と出会ったことで、再生するという話。写真なので、演技のうまい下手とかないはずなんだが、さすが主演の香川照之は役者で、生きる気力を徐々に取り戻して男の表情が実にいきいきとしていていい。

きれいな星空や、田園風景もスチール写真ならではの良さがある。この映画のように動画を使わず静止画のカットの連続で作る手法自体は、特別新しいというわけではない。過去に僕が観たことのある作品では、「ラ・ジュテ」というフランス映画がある。マイナーな映画だが、テリー・ギリアム監督、ブラッド・ピットの出世作となった「12モンキーズ」の原典である。この手の映画は、アート系の色が強く、映像の技巧に力点がおかれている場合が多いのだが、「ヤーチャイカ」のように人物描写に主題をおいた作品は、やはり珍しいと思う。

「ヤーチャイカ」の詩も、初の女性宇宙飛行士の嬉しそうな表情も印象的だった。この詩が収録されている「ゼロになるからだ」の他の詩も読んでみたくなった。先日、お台場にある科学未来館でプラネタリウムを観たのだが、ここのプラネタリウムは、天体の説明は全くない代わりに、詩が朗読される。「ヤーチャイカ」の詩は、プラネタリウムの映像にすごくはまると思うので、ぜひ検討して欲しい。

最近、朗読会が人気という話を聞いた。この映画を観て、写真映画の可能性を感じた。最近のデジタルシネマや、家庭のハイビジョンテレビでも、動画より静止画の方がより画質の良さを実感できると思う。

そんなわけで、なかなか面白い映画だったが、一つだけ苦言を言うと、音楽がちょっと平凡かな。もう少し、音数の少ないシンプルな感じの方が良かったと思う。

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ブレス

キム・ギドク監督の新作「ブレス」を観た。今回も、相も変わらず、ありえない状況設定のラブストーリー。

テレビで死刑囚が刑務所で自殺未遂を図ったというニュースを観て、何故か、その死刑囚に面会に行く女。過去の恋人いつわり、彼と面会を重ねるうちに、はじめは、ガラス越しの会話だけだったのか、彼女の行動はどんどんエスカレートしていく。

面会室の壁一面に、春の風景の絵を貼り付け、冬だというのに、春物の洋服を着て彼に会う。そして、カセットテープでおそらく韓国の春の民謡をかけ、いきなり振りつきで歌いだす彼女。ちょっと音痴なところと、普段まったく笑顔を見せない彼女が、楽しそうに歌う様子が、逆に痛々しい。でも、場内のあちこちから聞こえる失笑。

次の面会のときは、夏の歌、その次は秋の歌。ラストシーンは冬の歌だったが、これは日本人にもなじみの深い歌だった。歌詞はちょっと違っていたけど。

前作の「絶対の愛」に比べると、ストーリー的な面白さはそれほどなく、「うつせみ」のような詩的な話でもないのだけれど、観た後の余韻というか、ちょっともやもやしたものが残るところは、紛れもなくギドク作品。

春の歌はテンポが良くていい。思わず口ずさんでしまう。

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アフタースクール

アフタースクール (角川文庫 ゆ 8-2)内田けんじ監督の新作「アフタースクール」を観た。前作の「運命じゃない人」がむちゃくちゃ面白かったので、今回も期待大だった。

観た感想は、確かに面白いことは間違いなく、前作同様、前半は伏線を張りまくって、後半ではどんでんがえしと、ネタ晴らしで驚きの連続なのだが…

でも何かかが足りない。前作にあったスピード感が、今回の作品は乏しい。特に前半は、もう少しテンポよく進めて欲しかった。

変わりにと言っては何だが、ドラマのスケールや、感情劇的な要素も大きくなってはいる。ただし、これはメジャーな演技派の出演者を揃えたところによる部分も大きいと思う。恐らく、意図的にそういう作風を狙ってやったことだと思うのだが、いま一つ上手くいっていないような気がする。

公開二日目で、日曜日の朝一の回で、雨天であったが、席は前の方が空いていただけで、8割以上埋まっていたと思う。前作は無名の監督ということもあり、公開劇場も少なかったが、本作品は興行的には前作よりヒットするだろう。不満点ばかり書いたが、観て損はない作品なので、面白いと思った人は、「運命じゃない人」もぜひ観てほしいと思う。

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つぐない

映画「つぐない」オリジナル・サウンドトラック「つぐない」という映画を観た。姉と恋人の関係を勘違いとも言える幼い嫉妬心から、ある嘘をついたことによって、二人を引き裂いてしまった妹。事の重大さに気づいた彼女は、一生をかけて、そのことをつぐなおうとするのだが...

まず妹の少女時代を演じた子役がいい。ちょっと中性的な感じで、演技でひきつけるというよりは、演技をしなくても存在感がある。

映画の中盤は戦地をさまよう姉の恋人の姿が延々と描かれる。その映像は、一見リアルに、戦争の爪痕を映しているのだが、どこかおとぎ話的な感じもする。その理由は、最後でわかるのだが、それは観てのお楽しみ。

これ以上書くとネタばれになってしまうのだが、この映画は文芸作品なので、観客はある意味正攻法の感動を期待して観ていて、その意味で、終盤はそこそこ良かったなと思える展開を見せるのだが、最後であっと驚かされる。この手の映画で、こういうラストは全く予想していなかっただけに、かなりの衝撃を受けた。そして、かなり後を引く。

この映画、3月にシカゴから成田へ向かう飛行機で、先行上映していた映画の中で、唯一面白そうで観たいと思っていた。でも疲れていたのと、飛行機の小さい画面では、集中して観る気になれなかった。機中で観ていたら面白さは半減していただろう。観なくて正解だった。

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

石油!今年のアカデミー賞で、主演男優賞と撮影賞を受賞した「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を観た。ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画は、「パンチドランク・ラブ」以来だが、この監督がとりあげる人物は、いつも際物ぞろいだ。

今回は、一代で石油王となった人物の一生を描いているが、タイトルのブラッドには、家族という意味と、文字通り血の意味がこめられている。野心に満ちた主人公が、年齢を重ねるにつれて、家族も信じることができず、狂気じみてくる様を、ダニエル・デイ・ルイスが重厚に演じている。

このように書くと、「華麗なる一族」のような話にも聞こえるが、やっぱりこの監督の映画はどこか変なところがある。今回は、「リトル・ミス・サンシャイン」で失意のお兄さんを演じた青年がカルト教団の牧師役を演じているのだが、このキャラクタが、いかにもな感じで最高に面白かった。

ダニエル・デイ・ルイスとの長年にわたる対立が、この映画のストーリーの軸になっているとも言える。ダニエル・デイ・ルイスが演じる主人公はある意味わかりやすいが、牧師の性格は複雑だ。最後に少しだけ、彼の本心のようなものが見えるのだが...彼が登場したことで、この映画は単純なダーティーヒーローものではなく、すごく屈折した印象を観た人に与えることになっている。

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パラノイドパーク

Paranoid Parkガス・ヴァン・サント監督の「パラノイドパーク」を観た。意図せず罪を犯してしまった少年の、苦悩と孤独な心情を描いた作品だ。

予告編が終わると、スクリーンの幅が狭くなる。今時の映画で4:3かと思ったが、良く見るとさらに幅が狭い。6:5くらいだろうか。そのスクリーンに映し出されるのは、クリストファー・ドイルのカメラによる光と影、動と静のコントラストを駆使した、スタイリッシュな映像だ。

音楽も、クラシックからポップまでバリエーションに富む。セリフを消して、クラシックを流したり、ノイズに近い効果音等、使い方もおもしろい。久々に、サウンドトラックを買いたくなった。

少年を描いたという点では、「ある子供」とかに通じる部分もあるが、あちらは、BGMは無し、映像はあくまでリアルを追及しているのとは対象的だ。

どちらが好みかと聞かれると、圧倒的に本作品の方が好きだ。デフォルメされた映像や音楽を使いながらも、リアルな少年の心情を伝えることに成功していると思う。ラストは物足りなく感じる人もいるかと思うが、語り過ぎないところがいい。

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かつて、ノルマンディーで

ドキュメンタリー映画「かつて、ノルマンディーで」を観た。ニコラ・フィリベール監督が、30年前に助監督をした映画の舞台になったノルマンディーを訪れる。その映画は、実際にノルマンディーの村で起こった、少年による家族殺しを映画化したものだが、リアリティを出すために、出演者も地元の農民を使ったのだ。

当時の出演者から、現在の生活や、当時の様子、映画に出演したことがその後の人生に及ぼしたことなどが、インタビュー形式で語られる。ほとんどのエピソードは、その映画とは直接関係ないのだが、映画出演という一つの出来事を基点とすることによって、出演者がその後辿った様々な人生について考えさせられる内容になっている。

殺人犯を演じた主演の少年は、一旦は俳優を志すも挫折して、北米に渡り俳優とは全く異なる職業に就き、貧しい生活を送っていた。でも、ノルマンディーに戻り、他の出演者と再会した彼は、すごくいきいきとしていて、とても幸せそうだった。月並みだが、幸福な人生てなんだろうという思いにふけってしまった。

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ノーカントリー

No Country for Old Men (Vintage International)

今年のアカデミー賞で作品賞を獲ったコーエン兄弟の新作「ノーカントリー」を観た。麻薬をネコババしたことから、殺し屋に追われることになった男とその妻の運命はいかに?

という感じの映画だが、とにかく不気味な殺し屋の存在感がすごい。彼にとっては麻薬を取り戻すという本来の目的はどうでも良くて、自らの行動規範に従って人を殺し続ける。

ラストの感じなんかハンニバル・レクターを思い出させる部分もあるが、こちらの方が理由が良く分からないだけに、余計に怖い。

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人のセックスを笑うな

映画「人のセックスを笑うな」オリジナルサウンドトラック「人のセックスを笑うな」、映画館のチケット売り場では、「人セク」と略されている映画を観た。

大学生と、非常勤の美術教師のラブストーリーというか、年下男の片思いに近いのかなという感じ。女性の方は、本気なのか、遊びなのか良く分からない。自由な女性の、そこが魅力でもあるのだけれど。

観る前に想像していたのとはちょっと印象が違った。永作博美が主演なので、タイトルから想像されるようなエロは無いことはわかりきっていたが、もっと軽いテンポの映画を想像していた。

でも、実際は1カットがすごく長い、まったりとしたというか、だらだらとした感じの映画だった。こういう感じは嫌いじゃないので、結構面白く観ることができたが、結局最後まで同じようなテンポだったので、何となく物足りない感が残ったのも事実。

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ジェリーフィッシュ

イスラエル映画「ジェリーフィッシュ」を観た。 昨年のカンヌ映画祭で、最優秀新人監督賞を獲ったらしい。

イスラエル映画なので、舞台は当然のことながらイスラエル。3組の、何らかのトラブル抱えた人たちのストーリーが並行して描かれるオムニバス形式の映画になっている。3つのストーリーに繋がりは無い。

ホテルの部屋が災難続きの新婚夫婦と、作家のストーリーと、ヘブライ語が話せない介護ヘルパーと老女の話は、良かったか悪かったかは別にして、話としては納得のいくものだった。良く分からなかったのは、ウェイトレスと海辺に浮き輪をつけて突然現れた幼女のストーリーだ。

ウェイトレスの女性は、父親とその恋人の女性となんとなくうまくいってないらしい。他のストーリーも、わかりあえない人間関係を描いていて、この辺は、「バベル」にも似ているところがあると思った。ネタバレになるので、あまり書かないが、幼女はウェイトレスの少女時代の幻だったのだろうか?そう考えると、ちょっと納得がいく。

ジェリーフィッシュとはくらげのことらしいが、何となくふわふわしているウェイトレスのストーリーが、タイトルとは一番合っていることは間違いない。あと、映像はすごく綺麗だった。

上映の最中に、工事現場のドリルの音が聞こえた。最初は映画の効果音かと思ったが、どうもそうではなく、上階から聞こえてきているらしい。1人、2人、観客が席を立ち、ロビーに出て行った。しばらくして、ドリルの音は止んだ。

上映後、お詫びのアナウンスと、出口で無料招待券をもらった。工事をやっている限り、ドリルの音は避けられないので、工事中は上映できないと思うのだが、これからどうするんだろう...

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ミスター・ロンリー

ハーモニー・コリン監督の新作「ミスター・ロンリー」を観た。動画は、この映画のものではないが、冒頭主人公のマイケル・ジャクソンの物真似芸人が、ミニ・バイクに乗って登場するときに、タイトルにもなっているボビー・ヴィントンの「Mr. Lonely」がBGMとして流れる。

「僕は孤独だ。僕のことを思ってくれる人はいない。電話をかける相手がいればいいのに。今の僕は孤独な戦士」

なんて切ない歌詞。この曲自体はスタンダードとして有名な曲で、僕も耳にしたことは何度かあったが、歌詞の意味とか、戦場にいる戦士の心境を歌った曲であることは、この映画を観て初めてわかった。

映画の内容も、タイトルと同じで、切なくて救いがない。売れない二流の物真似芸人達が作った理想郷の中で、マイケル・ジャクソンを演じる青年と、マリリン・モンローを演じる主婦は自らの生きる道を探して、もがき苦しむのだが、出口はみつからない。

設定からして変な話で、ところどころ笑えるシーンもあるのだが、基本的には悲劇だと思う。映画の宣伝では、「マイケル・ジャクソンがマリリン・モンローに恋をした」とうたっているが、そんな話ではない。ちょっと、ブルーな気分になりたいときには、お勧めだろう(?)

しかし、東京は特異な場所で、こんなマイナーな映画でも、客入りがすごくいいのには驚かされる。

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善き人のためのソナタ

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション

今更ながら、昨年末、最後に観た映画の紹介。と言っても、映画館で観たのではなく、録画してあったのを家で観ただけ。 11月頃にWOWOWで放映された「善き人のためのソナタ」を録画しておいたのだが、時間が無くて観ることができなかった。実家に帰省する前に、レコーダの空きを増やすためにも時間を作って観た。

昨年度のアカデミー賞で、外国語映画賞をとった作品。舞台は東西分裂時代の東ドイツ。主人公は国家公安省の官員で、反体制の疑いのある劇作家の家に盗聴器を仕掛け、監視をすることになる。

しかしながら、盗聴をしている間に、劇作家と恋人の女優との関係に次第に惹かれて、彼らの手助けをするようになる。

社会から抑圧された人を助けた人物を描いた映画は、シンドラーのリストなどいくつかあったが、助ける側にも国家への反逆的な大義名分が裏に感じられるものが多い。その点、この映画は、主人公が反体制の行動をとったのが、極めて個人的な感情からで、結果的にそうなってしまったという感がある。それだけに、より切実な感情が伝わってきた。

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「愛の予感」その2

昨日に引き続き「愛の予感」ネタ。この映画は、ほとんどのシーンが、被害者の父が暮らしている旅館の中で撮影されている。

旅館には北上荘という看板がかかっている。多分セットではなくて、本当の旅館かどっかの会社の寮のような所で撮影しているものとは思っていたが、エンドクレジットを見て実在する旅館であることがわかった。

ちょっと気になったので、検索してみた。すぐに見つかった。直リンクは問題ありそうなのでやめておくが、googleで、“北上荘 苫小牧”というキーワードで検索すると、一発でホームページが見つかる。

映画ではいかにも安宿という感じで撮られているのだが、ホームページを見ると、想像していたよりまともな感じのところだった。というか、ホームページがあること自体すごく以外だった。おまけに女将のブログまであった(笑)。

気になったのは、宿泊料。旅館と言うよりは、長期滞在用の下宿というような感じで想像していたので、宿泊料はすごく安いのではないかと勝手に想像していた。実際の値段は、一泊5250+暖房費210円。あのあたりの相場がどの程度なのか、全くわからないが、朝食と夕食込みなので決して高くない。かと言って、格安という感じもしない。1ヶ月過ごせば、15万円以上かかる。会社から補助が出たりするのだろうか?

この映画は半分くらいは食事のシーンなので、食事の値段も気になった。朝食520円、夕食1050円。映画の通りなら結構な量で、内容も良さそうな感じだったので、リーゾナブルな値段だと思う。

苫小牧の方に行く機会があれば、ぜひ立ち寄ってみたいと思う。「愛の予感」ロケ地ツアーなんて、できないかなぁ…できないだろうなぁ…

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愛の予感

小林政広監督の「愛の予感」を観た。今年映画館で観た35本の中では、飛びぬけて面白かった。

女子中学生が同級生を殺した実在の事件をモチーフに加害者の母と、被害者の父の事件後の生活を追う。キャストはその二人だけ。小林監督が自ら被害者の父を演じる。映画の冒頭で、事件についてインタビュワーが、二人にそれぞれ現在の気持ちについて質問を投げかける。

加害者の母は、被害者の親に会って謝りたいと訴え、被害者の父は、事件後勤めていた新聞社を辞めていて、どこか遠くの町へ行って、ただ働きたいと答える。

舞台は1年後に移って、被害者の父は、北海道の製鉄所で働いている。そして、加害者の母は、偶然にも被害者の父が暮らす下宿のまかないとして働いている。

そこから、ラストシーンまで、二人のセリフは全くといっていいほど無い。そればかりか、スクリーンに映し出されるのは、ほとんど同じシーンの繰り返しである。BGMも全く無く、ときおり挿入される、製鉄所の高炉で鉄を溶かす時の音がノイズミュージックの様に響くのみ。被害者の父は、製鉄所の仕事から帰ると、まっさきに風呂に入る、その後、食堂で食事をする。おかずには一切手をつけず、御飯に玉子をかけて、味噌汁を飲むだけ。食事が終わると、トレイを配膳口に戻して、何も無い部屋に戻って文庫本を読む。朝になると、車で仕事に向かう。

一方、加害者の母は、炊事場で、毎日目玉焼きを作る。被害者の父が戻した食器を洗った後、炊事場で立ったままで一人孤独に食事をする。彼女が食べているのも、御飯と漬物のみ。朝になると、コンビニでサンドイッチとジュースだけを買って、何もない部屋に戻って食べる。

二人のまるで受刑者のような淡々とした変化のない毎日が、延々と10回以上繰り返して映し出される。カットもほとんど同じだ。しかしながら、一見全く同じように見えるシーンも、良く注意して見ると毎回微妙な変化があることに気が付く。さっきも書いたが、この映画にはセリフが無いので、観客はその微妙な変化から登場人物の心情を想像するしか無いのだが、どんな饒舌なセリフがある映画よりも、ひしひしと伝わってくるものがあった。

そういうある意味実験的な手法から生み出された効果のすばらしさに加えて、僕がこの映画が好きな理由は、シリアスな題材を取り上げながらも、どこかユーモラスであることだ。初期のデビット・リンチとか、カウリスマキの作品に通じるようなユーモアがある。一方で、題材のことを考えると、このユーモアは反感をかう危険性も含んでいると思う。しかし、「愛の予感」というタイトルの意味を良く考えると、その批判は的外れであることは明らかだと思う。

この映画はロカルノ映画祭でグランプリを獲ったそうだ。日本人監督が受賞したのは37年ぶりらしい。なのに、日本ではほとんど報道されていないし、公開される映画館も今のところポレポレ東中野のみだ。もっと多くの人に観られるべき作品だと思う。「愛の予感」を観て、この映画自体の面白さはもちろんのこと、映画という表現媒体の奥深さを観ている間ずっと感じていた。

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Inter BEE 2007

Interbee2007 昨日、Inter BEEを見学してきた。Inter BEEは、放送や音響関係の機器の展示会で、最新のテレビカメラとか、映像編集装置が展示されている。

東京に来てからは、ほぼ毎年見学しているが、年々IT系の展示が多くなっているように感じる。まさに放送業界に通信業界からの波が押し寄せているということを実感できる。

Inter BEEは、基本的にプロユースの展示会なので、あまり一般人は来ない。基本的に写真撮影禁止なので、コンパニオン目当てのカメラ小僧もいない。それでも結構な入場者数で会場は混雑していた。あまり時間をかけて見れなかったけど、アスキーの記事を見ると結構面白い展示があったようだ。

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転々

TOKION (トキオン・ジャパン) 2007年 12月号 [雑誌]映画「転々」を観た。オダギリ・ジョー演じる主人公が、三浦友和が演じる借金取りに、借金をちゃらにする代わりに、東京を散歩することにつきあえて言われて、2人で東京を転々とするという話。

「時効警察」に出ていたキャストが結構出ていて、笑いネタも「時効警察」的だった。三浦友和も小泉今日子もよかったけど、一番ツボだったのは、小泉今日子の姪役の吉高由里子だった。

とにかくハイテンションな女子高生を見事に?演じている。吉高由里子と言えば、なんと言っても「紀子の食卓」だ。あの鬼気迫る演技は、すごい新人が出てきたと驚いた。「紀子の食卓」では、レンタル家族を演じる役だったが、この映画でも三浦友和と小泉今日子の偽夫婦と、オダギリ・ジョーの偽息子と家族団欒の食卓を囲むという同じような役柄で出ている。

「紀子の食卓」の園子音も、「時効警察」で吉高由里子が出てくる回の監督をしていたので、三木監督とは交流があるのだろうと思う。

東京を散歩すると言いながら、東京の定番的な風景はあまり出てこないけど、映画としては当たっている言える。僕が観た回もほぼ満席だった。それと、観客の年齢層が広い。特にとりたててどうのこうの言う映画ではないけど、旬の勢いというのはやっぱりすごいと感じた。

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僕がいない場所

ポーランドの映画「僕がいない場所」を観た。母親に捨てられて孤児になった少年が、孤児院からも逃げ出して、一人川べりの船で生活する。少年は夜に町に出て、店のガラスを割って、食べ物を盗む。お金をかせぐために、くず鉄を集めて売る。

日本でも某元アイドルのように盗みを繰り返す少年はいるが、同じ盗みでもこの映画に出てくる少年の姿はとてもたくましく感じられた。遊ぶためか、生きるためかその違いは大きい。

少年は何度か母に会いに行くのだが、その度に母から拒絶される。過酷な運命を背負う少年と、少年に興味を持つ少女との交流が、唯一の救いとして描かれる。

とにかく残酷な話と対照的に、映像はすごくきれい。久々に聴いた気がするマイケル・ナイマンの音楽も良かった。「4分間のピアニスト」はいかにもドイツ的な映画だったが、この映画はポーランドと言われてもイメージが沸きにくいけど、きっときれいな風景が沢山あるところなんだろうと想像させてくれた。

ラストの少年の一言、何となく「ブリキの太鼓」を思い出した。

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4分間のピアニスト

映画「4分間のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック「4分間のピアニスト」という映画を観た。殺人の罪で刑務所に入っている女性がピアノコンクールに出場するという、とんでもない設定の話だ。天才的な才能を持ちながら、短気で乱暴な性格の主人公ジェニーと、ジェニーにピアノを教える老婦人の心の交流を軸にストーリーが進む。

物語の背景としとて、ジェニーが背負っている養父とのトラウマと、老婦人が背負っているナチ占領時代の若い頃愛していたピアノがうまい女性との話が描かれている。

この映画の評価の分かれ道は、タイトル通りのラスト4分間のピアノ演奏に感動できるかどうかだろう。一歩間違えば、かっての大映ドラマなシーンであるが、ぎりぎりのところで感動シーンとして踏みとどまっていたと思う。別に大映ドラマ的にみても悪くは無いと思うけど。

良くも悪くも予想外の圧巻であった。僕は単純なので、目頭が熱くなってしまった。まあでも、白ける人も多いとは思う。ちなみに、隣の席に座っていた、恐らく大映ドラマは知らないであろう、かなり若い女の子もハンカチで涙をぬぐっていた。

今回初めて渋谷のシネマGAGAという映画館で観た。映画館が入っているビルがいかにも渋谷という感じでこれまで避けていたのだが、中に入ってみると意外と落ち着いて悪くない映画館だった。

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東京国際映画祭終了

Tif2007closing 1週間続いた東京国際映画祭も今日で終了した。六本木ヒルズでは、原久美という人のボサノバのライブをやっていた。

Tokyotower2016 六本木ヒルズから東京タワーの写真を撮る。撮っているときは、全く気がつかなかったが、写真を拡大して見ると、展望台に「2016」の文字が見える。東京オリンピックの招致活動の一環だろう。

Tif2007closing2 ライブが終わると司会の人が出てきて、挨拶して終了。地味な感じで…

帰りにビックカメラによって、パソコンのサウンドカードを買った。これまでオンボードのサウンドを使っていたが、音質的には特に不満はなかったが、出力が一系統しかないので、スピーカーとヘッドフォンに同時出力ができないのが不満だった。

それで、出力が2系統あるもので、そこそこの値段で音質の良いものが前から欲しかった。5.1chとか、ゲーム用の機能とかはいらないので、アナログ出力の音質が良いもの。オンキョーのSE-200PCIは評判は良いが、スペックを見る限りは、ヘッドフォン出力が無いっぽい。

一般的にUSBで外付けするタイプのものの方が、ノイズの影響を受けにくいので音質が良いと言われているが、これ以上電源を増やしたくない。それで結局買ったのは、PRODIGY HD2という製品。この製品は今一マイナーなのか、置いている店が少ない。機能で考えると、割高な感じがするからかもしれない。

家に帰って取り付けて、Vistaのドライバをダウンロードしてきてインストール完了。さざなみCDをSENHEISER MX450と、オーディオテクニカATH-AD900で聞いてみると、明らかに音質が良くなっていることがわかった。これまでとは別次元と言えよう。聞こえなかった音が聞こえる。

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第20回 東京国際映画祭

Tif2007 昨日から始まった東京国際映画祭に行ってきた。去年は、入場券を買うのを忘れていて、見たい映画は売切れてしまっていて行けなかったので、2年ぶり。

今年は、運が良かったのかどうかわからないが、ぴあのプレリザーブ券に申し込んだら当選した。

見てきたのは、「真木栗ノ穴」という映画。この監督の前作の「狼少女」が面白かったので、期待してチケットを申し込んだのが、今回もなかなか面白かった。主人公はぱっとしない作家。アパートの隣の部屋を壁の穴から覗き込んで、それをネタに小説を書いているうちに、書いたことが現実になっていくというような内容。公開は来年なので、内容はあまり触れない。ファンタジーなホラーという感じかな?舞台挨拶で監督も言っていたが、いろいろ複線があって何度も楽しめそうな感じなので、公開されたらもう一度見てみたい。

上映前に、監督の深川栄洋と主人公の作家役の西島秀俊、アパートの隣人役の粟田麗、出版社の編集者役の木下あゆ美の舞台挨拶があり、上映後には監督の主演の2人を交えてのティーチインがあった。

上映後のティーチインは、来場者とのQ&Aで、時間もたっぷりとってあって面白かった。質問も回答もナイスでした。映画祭は公開前の作品が見られるのがいいところだが、やっぱり舞台挨拶やティーチインが面白い。初公開のケースが多いので、製作者側も観客も期待と不安でいっぱいだ。

Tif2007_2 今日は快晴で、六本木ヒルズから東京タワーもきれいに見えていたが、映画が終わったらすっかり暗くなっていた。センターステージにも人は居なくて寂しい感じ。

映画祭は来週末まであるが、仕事が暇ならもっと行きたいところだけど、忙しいしなぁ...

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クローズド・ノート

「Enjoy Movie」♯1 映画「クローズド・ノート」特集

沢尻エリカの舞台挨拶が物議を醸している「クローズド・ノート」を観た。映画としては、可もなく不可もなくといったところ。行定勲監督の作品は、「GO」までの初期のものは結構みていただが、それ以降メジャーになってからの作品はあまりみていなかった。

今回の作品は、岩井俊二のできそこないのような感じがしなくもない。助監督をやっていたらしいので、作風が近いのはある程度しかたがないと思うが。

沢尻エリカは悪くなかったと思う。というか、演技は上手いと言っていい。感動的なシーンでもオーバーアクションにならず、自然な演技ができる人だ。相手役の伊勢谷友介がいまいち。

今回の沢尻エリカの行動は、世間からは非難されているが、個人的には今の日本映画界に一石を投じるという意味では、よかったのではないかと思う。全国ロードショーされる作品は、様々なタイアップが付き、あまりに商業主義に走りすぎていると思う。

個人的には、映画としてのできが良くて、役者の演技がよければ、映画の外の世界は特に気にならない。今の日本映画には、ほんとの映画俳優というのはほとんどいないので、テレビ番組での言動とか、映画の他の言動がとやかく言われる傾向にあるが、ほんとはそんなことどうでもいいはずだ。

沢尻エリカは、あの年代の役者の中では、仕事に対する思い入れがすごく強いのだと思う。今回の件で変に大人しくなったりせず、今のままで突っ走って欲しい。

YouTubeにデビュー当時にバラエティ番組に出演したときの映像がアップされていた。この映像を見て、今回の言動が妙に納得できた。

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アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

今日の東京は寒かった。寒い中、六本木で「アヒルと鴨のコインロッカー」を観た。映画館の中は、冷房が効いていて、さらに寒かった。

評判のいい映画なので前から観たいと思っていたが、これまで観る機会を逃していた。でも、かなりのロングラン上映になってくれたおかげで映画館で観ることができた。大学に入学した主人公の青年は、親元から離れてアパートで一人暮らしをすることになるが、アパートの隣人に半ば無理やり本屋を襲撃する手伝いをさせられることになる。その裏に隠された話が、そのアパートの隣人と、知り合いのペットショップの店長から語られるという話。確かにミステリーとしても面白いし、悲しくも美しい友情が淡々と描かれるいい話だった。

ネタばれになるので、内容についてはあまり触れたくないが、中盤から真実が徐々に明かされていく。その過程がちょっと長い気がする。原作に忠実に作っているためかもしれないが、映画ではラスト近くまでネタ晴らしを引っ張って、一気にエンディングに繋げた方がすっきりして良かったのではないだろうか?

アパートの隣人を瑛太が演じていて、その昔の恋人を関めぐみが演じているが、関めぐみは瑛太と並んでも身長差があまりない。瑛太は以前、ドラマのロケ現場にたまたま居合わせて実物をみたことがあるが、180cmはあるように見えた。関めぐみも結構大きいということがわかった。顔立ちといい、何となく、元モーニング娘のジョンソンとイメージがかぶるかな。映画のストーリーとは全く関係なく、どうでもいいことがちょっと気になった。

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人が人を愛することのどうしようもなさ

喜多嶋舞映画人が人を愛することのどうしようもなさ写真集石井隆監督の「人が人を愛することのどうしようもなさ」を観た。

喜多嶋舞が、かってのアイドル歌手で今は女優をやっている主人公を演じる。夫が不倫しているという設定で、夫役を実際の夫が演じるという映画に主演することになる。竹中直人が演じるフリーライターに映画に関する取材を受け、喜多嶋がその映画のストーリーを説明する。竹中直人によるインタビューシーンと、喜多嶋舞の回想シーンで映画は構成されている。

映画の中に劇中劇としての映画が2本挿入されるのだが、果たして、喜多嶋が説明する映画が本当に存在するのか、劇中劇の映画が本当で、説明される映画は喜多嶋の妄想に過ぎないのか、観客を疑心暗鬼な気持ちにさせる。このあたりは、デビット・リンチの「マルホランド・ドライブ」や「インランド・エンパイア」にも通じるところがある。ただし、リンチの作品のように見終わっても何が本当か良くわからなかったということは無く、納得のいくオチが用意されている。

この映画は喜多嶋舞の大胆な演技を売りにしていることもあって、部分的に観ると限りなくポルノに近い。実際、男性客が多く、年齢層も高かった。中年の夫婦が待合い席に座っていたのだが、男性の方は別の映画の券を買ったつもりだったらしく、女性の方が違うことに気がついた。ポスターの内容を見て、その女性は「これ私見れない。見に来てるの男の人ばっかだよ。」と言って、券を取り替えて貰いに言った。男性の方がわざと間違えたのでは無いかという勘ぐりもしたくなるが、ちょっとその様子は面白かった。でも、女性一人で見に来ている人も何人かいたし、ちょっと目をつぶれば、面白く見れる内容だと思う。でも、やっぱり隣に男性が座られると恐いのではないかと思う。

映画の内容は、すごく切ない話で、喜多嶋がアイドルだったころの映像に合わせて歌うシーンは、なぜだかぐっときた。実際の喜多嶋舞がアイドルだったころを覚えている人は、今では少ないと思うが、ちょっと反則なんじゃないかという気がする。そういう意味では、この映画は、現実も含めて、4層構造になっているとも言える。

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サッド・ヴァケイション

サッド・ヴァケイション青山真治監督の新作「サッド・ヴァケイション」を観た。渋谷のシネマライズで観たが、ものすごく混んでいた。僕は、30分以上前に券を買っておいたが、それでもかなり前の方の席しか空いていなかった。上映の15分くらい前に戻ると、すごい行例ができていた。到底、全員入れるとは思えない。しかも、最終回なので、後日出直すしかないと思う。危なかった。

この映画は、過去の作品「Helpless」と「ユリイカ」の、一応続編になっている。僕は、ユリイカしか観ていなかったが、ストーリーを理解するのには、特に問題はなかった。

母親に捨てられた、浅野忠信演じる主人公が、ひょんな偶然で石田えりが演じる母親に再会し、一緒に暮らすことになる。しかし、浅野は過去のわだかまりが消えず、復讐を実行するのだが、結局は母の呪縛から逃れることはできなかったてな話。

浅野忠信が、不器用だが正直な主人公を、いつものことだが、すごく自然に演じて良かった。ますます、自然さに磨きがかかったという感じ。一方、石田えりが演じる母親は、ある意味、人間的な存在を超越していて、すごく恐ろしい。でも、やっぱり、母親は偉大だと感じさせられてしまう。

これまでの、青山監督の作風とはちょっと変わっていて、結構、ギャクも効いているし、ストーリーの割には、あまり重さを感じさせない。前作の、「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」も、個人的にはコメディと言ってもいいと思っているが、かなり難解なコメディだ。その点、本作はだれが見ても笑えるシーンが結構ある。

「ユリイカ」とどちらが好きかと問われると、ユリイカの方が好きだが、本作も面白かったことには変わりはない。ユリイカほどではないが、話は長いし、だらだらしている感もあるが、そのだらだら感も含めて、この監督の持ち味なので、はまる人ははまるし、だめな人は全くだめでしょう。

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エヴァンゲリオン新劇場版:序

「エヴァンゲリオン新劇場版:序」を観た。エヴァンゲリオンのテレビ版は、リアルタイムでは見ていなかったし、世間でかなり話題になってから、話題についていくために見ておくかという感じで、レンタルで1回見ただけなので、ストーリーはよく憶えていなかった。

この映画だけ観ても、大方のストーリーはわかるようにはなっているが、やっぱり、復習してから見た方がよかった。ストーリー自体はテレビ版と同じだが、リリスがいきなり出てきたりして、テレビ版では謎が多くて良く理解できなかった部分のストーリーが、結構、大胆に構成し直されているような気がする。リリスのことも良く憶えていなかったので、これは何だっけかと思い出すのに時間がかかった。映画の最後に入る、2作目の予告は、テレビ版ではなかったストーリー展開を期待させる内容になっている。

映画を観てから、バンダイBBチャンネルでテレビ版の5話まで無料配信していたので、5話だけ見直してみた。絵の構図自体は、映画版も全く一緒だが、クオリティはまさに最新の技術を駆使しましたと言う感じで、ものすごく上がっていることが良くわかった。

実写のリメイクは、「犬神家の一族」の例のように、技術の進歩は必ずしもプラスには働かない。過去の名作のフィルムをデジタル処理して画質を改善したリマスター版もあるけれど、それはあくまでも過去の作品なので、全国ロードショーして集客を見込める作品にはならない。その点アニメは、同じセル画をベースにして、構成を変えたり、追加したりすることで、新しい作品として作り上げることができる。過去にアニメでも、劇場公開されるときに、部分的に修正が施された例はあるが、エヴァンゲリオンほど、全面的にリファインされた例は無いと思う。こういう形のリメイクはありだと思う。もちろん、元が良くないといけないのだけれど。

今回、初めてユナイテッドシネマ豊洲で見た。エヴァンゲリオンは大ヒットしているので、いつ行っても混んでいるという噂を聞いていたが、豊洲という場所のせいか、それほど混んではいなかった。映画館は、椅子もゆったりしているし、前席とのスペースも広いので、ゆっくり観られていい映画館だと思う。

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シッコ

最近、会社に出入りしている保険会社の営業部員にしつこくつきまとわれて、保険をそこの会社に切り替えてくれと言われて、断るのに困っている。今、僕が入っている保険は、三大疾病にかかったときの払い込み免除特約と、収入補償が付いていないというところを責めてくる。

そりゃ確かに、特約は付いていたほうがいいとは思うが、その分、掛け金は上がるし、死亡時の給付金は下がるので、一長一短だと思う。保険の話は、ややこしくて、何度聞いても良く分からない。

そんなわけで、最近保険のことが気になっている僕は、マイケル・ムーア監督の新作ドキュメンタリー映画「シッコ」を見に行った。(シッコはSICKOで、精神病患者という意味のスラングらしいが、日本語ではビミョウなタイトルだと思う…)

この映画は、アメリカの医療制度を、他国と比較して、ユーモアを交えながらも、厳しく批判している。アメリカには、公的な医療保険はないので、任意で民間の医療保険会社と契約することになる。

日本でも、保険会社の未払いが最近問題になったが、アメリカの場合はその比ではない。まず、加入するときの審査がものすごく厳しい。肥満の人や、やせすぎの人は加入できないし、本人が忘れているような、ささいな既往症であっても、申告の義務がある

保険の請求時には、徹底的に調べられて、既往症が見つかったりすると契約違反になって、保険はおりない。救急車を呼ぶにも、保険会社に事前申請しないと自己負担になる。

そして、もっとも重大な問題は、収入が少ないために、保険に入っていない人が、5000万人、全国民の6分の1に及ぶという事実だ。医療費が払えない人は、入院が必要な状態であっても、強制的に退院させられる。

一方、アメリカと対比して紹介される、イギリスやフランス、カナダといった国は、基本的に医療費は無料だ。国によっては、病気が治るまでの収入も補償してくれたり、出産時には家政婦が派遣されたりする。手術を断った回数が評価されるアメリカの医師と、手術をした回数で収入が増えるイギリスの医師の対比。

9.11で活躍した救命隊員が、救助活動中に呼吸器に障害を負って、保険がおりないために治療できずに苦しんでいる一方で、テロの実行犯は、キューバの刑務所で完全な医療を無償で受けている。

映画では触れられないが、イギリスやフランスの医療制度は高額な税金で維持されているので、単純にいいことばかりでは無いと思うが、アメリカの制度に問題があることは疑いようはない。

日本はどうかと考えると、確かに公平な医療が受けられるようになっているとは思うが、保険屋さんが言うように、いい治療を受けようと思うと、かなりの自己負担が必要になるというのも事実だ。この映画はエピソードの取り上げ方とか面白いので、ぼーと観ていると、単なる他国の事情と笑い飛ばしてしまいがちだが、日本も最近の動きを見ていると、なんとなくアメリカ型に流れているようで、笑ってられないと思う。保険どうしようかなぁ…。

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シノケン君

Shinoken_2  実家でTVを観ていると、中京地区でしか流れていないCMが気になる。結婚式場のCMが妙に多いとか、深夜に流れているパチンコ屋のCMとか、中には面白いものもあるのだけれど、地方CMの特徴は、表現がすごくストレートなところだと思う。

そんななかで、さっき見たアパート経営のシノケンのCMは、地方CMっぽく無いところが面白かった。シノケン君がある意味正論をまくし立てて、聞いてる人が耐え切れなくなって、首を絞めるという、ちょっとひねくれた表現が面白い。

まあ、このCMを見て、アパート経営をしてみようと思う人がいるかというと、甚だ疑問だが、少なくともインパクトはあるので、社名のアピールには成功していると思う。

逆に全国区のCMでありながら、地方っぽいのは、エステーの社名変更CM。エステー化学からエステーに社名変更して、社長が変わっただけのことを、わざわざCMにして、旧社長、新社長自ら出演しているところが、地方CMのテイストだ。名古屋で言えば、美宝堂のCMと同じようなものだ。

例えば、カネボウがクラシエに社名変更するとか、全然違うものになるのであれば、CMも必要でしょうが、エステー化学がエステーになっても誰も間違えないでしょう。しかも、CMのメイキングを見ると、最後の”エステー”のナレーションを、122回も録りなおしたとか書いてあるし...ちょっと力の入れる方向を間違ってるのでは?

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インランド・エンパイア

Inland_empire デビット・リンチの新作「インランド・エンパイア」を観た。いろんな映画評で、ストーリーはわけがわかないという話を聞いていたので、覚悟はしていたが、予想していた以上だった。

上映時間3時間の大作だが、そもそも本作品には筋の通ったストーリーを作るということを監督自らが放棄しているように見える。一見難解に見えても、監督の中では計算があって、注意して観るとわかるという作品は多くあるが、本作品には当てはまらない。

過去の作品、「ロスト・ハイウェイ」と「マルホランド・ドライブ」も、主人公が別人と入れ替わるというか、内面を見た目も含めて別の人格として描かれているところとか、物語が複雑な入れ子構造になっているところは、本作品とも共通しているのだが、納得のいく説明がつくかつかないかという点において、決定的に違っているように思う。

僕は、途中でストーリーを理解しようという気が無くなってしまった。じゃあ3時間が苦痛だったかというと全くそんなことはない。精神に響く恐怖のイメージ。全編にBGMとして流れるノイズ。不意に挿入されるポップな音楽。圧倒されっぱなしだった。

ラスト近くで裕木奈江が出てくるのだが、特にその後の展開がすばらしい。それまで断片的に語られてきたストーリーがエンドクレジットのミュージカル風ダンスミュージックまで一気に繋がっていく。久々に映画を観て鳥肌が立った。誤解の無いように断っておくが、わからなかったストーリーが理解できたというわけではない。わからないままなんだけど、それまで頭の中でもやもやしていたものが、すごくすっきりした気になった。

観終わった後、珍しくパンフレットを買ったのだが、とてもコンパクトな本で、内容も充実していて読み応えがあった。監督のインタビューが掲載されいて、印象的な言葉があったので、引用させていただく。

「どんな映画も未知の領域に誘ってくれるものだ。だが、観る者は、直観力を駆使することを恐れてはいけない。とにかく感じ続けること。内にある知識を信じることだ。シネマはかくも美しい言葉だ。あなた方には言葉の才能があるだろう。しかし、シネマは言葉を超えたものだ。シネマと音楽は似ていて、美しく知的な旅のできる素晴らしいものだ。言葉なしに語りかける。だから、違う世界を開き、ぜひ体験してほしい。」

(ちなみに裕木奈江は、デビット・リンチ作品においても、僕らが良く知っている裕木奈江のイメージそのものでした。この人実際はかなりいい年だと思うけど、映画の中では10代のようにも見える。ある意味すごい人です。)

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犯人に告ぐ

犯人に告ぐちょっと前にwowowで放送されて録画しておいた「犯人に告ぐ」を、やっと観た。秋に劇場公開される作品だが、一回限りということで、wowowで先行放映されたもの。

連続幼児殺人事件を追う、一人の警察官と、彼を取り巻く同僚達との対立が話の中心になっているのだが、一言で感想を言うと古い!

豊川悦司が演じる警察官がテレビに出演して、犯人を挑発する劇場型捜査が売りになっているのだけれど、過去にも「模倣犯」とか「デス・ノート」とか近いものがあったので、新鮮味はない。連続幼児殺人という題材も、使い古された感がある。嫌な同僚のキャラクタも類型的すぎると思う。

演出もお決まりのパターンが多いし、配役もいまいち。テレビドラマとしてなら、及第点はあると思うが、これにお金を払ってまで観たいと思う人がどれだけいるだろう。どう見てもヒットする要素がないと思う。

多分、wowowには僕と同じ様な感想が多く寄せられていることと思うので、このまま公開されるのか、大幅に手直しされるのか、別の意味では楽しみな作品だ。

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転校生 さよならあなた

おれがあいつであいつがおれで大林宣彦監督が、25年ぶりりにセルフリメイクした「転校生 さよならあなた」を観た。

斜めに傾いた画面に代表される凝ったカット割り、全編を通じて流れるクラシック音楽、くさいセリフ回し、大林宣彦ワールド全開。これらの要素のどれか一つでも欠けると、全く駄目な作品になってしまうと思う。その点、大林監督は、すごいです。いいとか悪いとか、普通の映画としては評価できない次元にいってしまってる。

どこか古臭い言葉遣いとか、一美の恋人の弘君が、堂々と愛を主張するシーンとか、現代の映画としてみると全くおかしいのだけれど、大林ワールドの中では、全てが許せてしまう。

最近、この手のセルフリメイクが流行っている。「犬神家の一族」とか。「犬神家の一族」は、前作と全く同じストーリーとセリフ、カメラのカット割までほぼ同じという徹底ぶりだった。

一方、「転校生」は、一夫と一美が、入れ替わるシーンからして違う。前作の神社の境内の階段から、転げ落ちて入れ替わるシーンは特に有名で、多くのドラマや映画で引用されている。最近では、「パパとムスメの7日間」でも、舘ひろしと新垣結衣が転げ落ちていた。関係ないけど、舘ひろしの演技のがんばりようはすごいね。

本作では、舞台が尾道から長野に変わり、一美の家は蕎麦屋をやっている。一夫と一美が二人で、山の中にある池に蕎麦をうつための水を汲みに行き、そこで二人で池におちて入れ替わる。導入部分からの違いはあるが、それでも前半は前作と同じようにコメディタッチで展開していく。後半、一美が難病にかかっていることがわかり、物語は一変して、“死”が重要なテーマとして入り込んでくる。

もう一つ本作品を特徴づけているのは、一美の恋人である弘君の存在だ。弘君は狂言回し的な役割を担っていて、物語に方向性をつけて導いていく。物語の前半で、哲学好きの弘君が、一美に読めと手渡す、キルケゴール作の「死に至る病」。物語の後半で、一美になった一夫が読んで、死を考えることは、逆に生きていくことの大事さを考えることでもあると気付く。

僕は、特に後半部分がかなり好き。一見、流行の難病物と捉えてしまいがちだけど、病名が全く明かされないところからして、他の作品とはちょっと違うと思う。二人は死を意識しながらも、死に対する悲壮感は全くといっていいほど無い。

新宿ガーデンシネマで観たが、小学生くらいの子供連れをちらほら見かけた。前作を観た親が子供を連れてきたのだと思うが、今回の内容は、子供にはちょっと難しすぎて、理解できないと思う。というか、大人でも理解できない人が多いと思う。と書いている、自分もほんとに監督の意図を理解できているかどうかと言われるとかなり怪しい。

一美を演じた蓮佛美沙子は、いかにも大林監督好みの顔立ち。小林聡美と比べると、ずっと女性を感じさせるのだけど、いやらしくならないぎりぎりのところで踏みとどまっていたと思う。特に、ピアノの弾き語りは、すごく清らかな感じで良かった。エンドロールでは同じ曲を歌手の人が歌っているのだけれど、蓮佛美沙子の歌の方が好き。

一夫を演じた森田直幸は「酒井家のしあわせ」で初めてみて上手いなぁと思ったけど、今回もその印象は変わらなかった。

見る人をすごく選ぶので、客入りはあまり良くない様だけど、個人的には好きな作品。そういえば、大学生のとき友達3人で昼ごはんを食べた後、何気なく「ふたり」の話になって、尾道に行ってみたいなぁということになった。その日の夜には、友達の車で出発していた。学生だからこそできた技。今回の長野の風景も良かったので、また行ってみたい。

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プレステージ

昨日は、出張の疲れで一日体がだるかったけど、夜になってちょっと元気が出てきたので、日比谷に「プレステージ」を観に行った。

あるミスでマジックの途中で妻を亡くしたマジシャンと、かっての相棒であり現在はライバルのもう一人のマジシャンが互い憎み合って対決するというストーリー。

映画の冒頭に、監督のメッセージで、この映画のラストは誰にも話さないでくださいというメッセージが流れる。二人のマジシャンは、瞬間移動のマジックで対決していて、互いに異なるトリックを用いている。そのタネがこの物語のキーになっている。ラストでタネは明かされて、大ドンデン返しとなるわけだけれど、僕は、途中で分かってしまった。多分、分かる人の方が多いと思う。

タネがわかると、複線が見事に張り巡らされていたことに気付いて、もう一度最初の方のシーンを確かめて見たくなる。そういう意味では、すごく良くできた話だと思う。19世紀の美術とか衣装とかも、雰囲気があっていいと思う。ただ、かなり入り組んだ話で、脚本も、いまひとつ上手く処理できていない感じで、ちょっと話がわかりにくくなっているのが残念。中盤あたりは、テンポ良く話が進まないけど、ぼーっと見ていると、話がわからなくなってしまうと思う。それと、ラストシーンの後味はあまり良くない。

そんなわけで、ラストの展開にはあまり驚きはなかったが、エンドロールである重要な役を、デビッド・ボウイが演じていたことを知って驚いた。どっかで見た顔だなと思っていたけど、全然気付かなかった。

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ボルベール 帰郷

ボルベール「オール・アバウト・マイ・マザー」、「トーク・トゥー・ハー」でアカデミー賞を受賞したあたりから、すっかり巨匠になってしまったペドロ・アルモドバル監督の新作「ボルベール 帰郷」を観た。

女性バンザイの映画だった。世界的に評価されるようになってから、その傾向は強くなっていたが、特に本作品は際立っていると思う。登場人物は、ほとんど女性しか出てこないし、女性だけでそこまでやる必要があるのかというシーンが随所にある。

この監督はゲイであることをカミングアウトしているが、ここまで女性賛歌する理由は何?男性好きだからこそ、男性のいやなところが良くわかるということ?

アルモドバルといえば、アブノーマルな世界を描かしたら右にでるものはいないと思う。このところの作品は、ストレートなアブノーマルさはオブラートに包んで、一見高尚に見える(でも、やっぱり普通ではない)。特に最近、女性ファンが増えたというか、一般受けするようになったのは、そういう作風の変化の影響があると思うが、個人的には何かもの足りない感じがするというのも事実。「キカ」とかに出てきた、強烈なキャラクタの登場人物がいないからかなぁ?

原色をちりばめたエキセントリックな色遣いは健在。まさに、スクリーンが絵画のように見える。過去の作品ほど意識的にやっている感じはないが、それでも配色の巧みさには関心させられた。

4人の女性が、並んで歩くシーンがあるが、彼女たちの洋服の色が、赤、紫、青、緑と見事に違うが、色の並べ方の順番と、トーンを合わせているので、ちぐはぐな感じが全くしない。別のシーンでは、モノトーンだが柄を変えて合わせていて、ほんとに色遣いに関しては天才的なセンスの持ち主だと思う。

六本木ヒルズの朝一の回で観たが、女性客が多かった。6~7割り程度の客入りだったと思うが、ここの発券システムは、基本的に真ん中からつめていくので、両側女性に挟まれてちょっと肩身が狭かった。両側とも、一人で観にきているようだったが、右側のお嬢さんは、途中からハンカチを取り出してしくしく。左側のギャルは、ひたすらポップコーンをぽりぽり。女性もいろいろだ。

ストーリーについて、全く書いていなかったので簡単に触れると、ペネロペ・クルスが主人公を演じ、その母と娘、親子3代の微妙な関係を軸に話しが進む。娘が、ペネロペ・クルスの夫を殺してしまい、死体を知り合いのレストランの冷蔵庫に隠す。レストランのオーナーが留守中にペネロペ・クルスが勝手にレストランを始めたところ、大繁盛してしまって、死体を動かせなくなってしまう。

ペネロペの母は、ある事件で亡くなったのが、成仏できずに幽霊になって、叔母といっしょに暮らしている。だが、その叔母が亡くなってしまい、行き場所が無くなった母の幽霊は、ペネロペの姉と一緒に暮らすようになる。ペネロペに見つからないように身を隠す母の幽霊と姉のどたばたはコメディとしても面白いし、母と娘が確執から和解するシーンにはじーんときて、ラストもきれいな終わり方で、ほんとにいいお話。あらすじだけ読むと、変な話だけど...でも、アルモドバル作品として観ると、何か物足りないんだなぁ。

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キサラギ

キサラギ オフィシャル・ムック映画評とかネット上のユーザレビューとかにおいて、今年これまでに公開された邦画では、一番の高得点を獲得している「キサラギ」を観てきた。確かに噂にたがわず面白かった。

何を書いてもネタバレになってしまうので、ストーリーについてはあまり触れない。自殺したアイドル「如月ミキ」の1周忌に、ネット上のファンサイトで知り合った5人のファンが集まって追悼集会をやる。そこで、一人のファンが、実は自殺ではなく、殺されたのだと言い出し、そこから5人の推理が始まる。

この映画は、基本的に一幕ものの舞台劇の形式をとっており、ときおり挿入される回想シーン以外は、集会場の中だけでストーリーが展開する。スピード感のあるストーリー展開、次々と明かされる衝撃の真実、そして大爆笑。息つく暇も無く、飽きさせない、すばらしい脚本。途中、先がわかってしまって、若干もどかしい部分もあったが、大した欠点ではない。この手の映画では、三谷幸喜の「12人の優しい日本人」以来の傑作だった。この脚本家は、「12人の優しい日本人」をかなり研究したのではないかと思う。

「12人の優しい日本人」は、コメディー+推理劇だったの対し、「キサラギ」はプラス泣きの要素を入れているところが、これだけ多くの人に支持されている理由だと思う。アイドルファンの涙腺を巧みについてくる。僕は、特別誰かのファンになったことは、過去においても、現在においても無いけど、それでもちょっとほろりとさせられた。

ほんとに万人にお勧めできる作品。映画だけにしておくのは勿体無いので、ぜひ生の舞台版も作って欲しいと思う。もっと緊張感が出て良くなるのではないだろうか。

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大日本人 VS. 監督・ばんざい!

銀座へ歩いて行って何をしたかと言うと、「大日本人」を観た。皇居とアジサイを見ながら、「大日本人」を観る。日本人らしい休日。そして、その足で銀座線に乗って渋谷へ行って「監督・ばんざい!」と見比べてみた。

結論から言うと、引き分けかな?どちらも、面白くなくはないと思ったが、かといって期待以上でもないという感じ。「大日本人」の方は、松本人志が得意なカルトなお笑いで、「監督・ばんざい!」の方はたけしが得意な、自虐的なお笑い。

どちらも面白くないという意見が多い。たけしの方は単純に笑えないということだと思う。一方、松本の方は、笑いが分からなくてついていけないという人と、笑えるけど、期待しているものではないという複雑な心境の人に分かれると思う。

僕は、後者の方。「大日本人」は、ヒーローの寂しい日常を、インタビュー形式でドキュメンタリータッチで追うシーンと、怪獣との対決シーンが交互に挿入される。実験的な映画ではあると思うが、笑いの質としては、松本人志のいつものコントだと思う。後半になるにしたがって、その色が強くなる。いっそのこと、インタビューシーンだけで、最後まで押し切った方が、良かったのではないかと思う。僕は、怪獣との対決シーンや、エンドロールのコントよりも、インタビューシーンの方が面白かった。

「監督・ばんざい!」の方も、評価が難しい。興行的には失敗続きの北野監督が、ヒットする映画を作ろうと模索するが、結局全て失敗という話なので、ある意味、面白くなくて当然という予防線が張られている。でも、最後の岸本加世子と鈴木杏のコンビのエピソードは、僕は嫌いじゃない。結構面白かったと思う。

面白いとか面白くないとか、そんなことより、「監督・ばんざい!」の一番の収穫は、内田有紀がすごく綺麗になっていたこと。最初でてきたとき誰かわからなくて、内田有紀だと気付くまで暫く時間がかかった。いつのまにあんな綺麗になったんだろう?それだけで、この映画を見に行って良かった。

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三月のライオン

三月のライオン(トールサイズ廉価版) 僕の好きな映画の一つ、「三月のライオン」。初めて観たのは、深夜にテレビで放送されたときだったが、途中から観たのでこの話が兄と妹の、いわゆる近親相姦の話だとは最後まで気がつかなかった。普通のラブストーリーだと思って観ていた。タイトルも知らずに観ていた。

その何年か後で、知り合いの女性に「三月のライオン」という映画が一番好きなんだけど、近親相姦の話だというのを聞いて、興味を持ってレンタルビデオで借りてきた観た。前に観たことがあることを思い出した。妹が記憶喪失の兄を好きになるという話だとわかって、とても切ないと感じたが、それほど深い印象は残らなかった。

それから、何年か後、兄役の俳優である趙方豪が亡くなった。追悼公演で、今は無き大阪のシネマワイズ梅田という映画館で「三月のライオン」が上映された。僕は観にいった。映画館のスクリーンに、映し出された、冒頭のシーンの青色、その美しさに圧倒された。ビデオではわからなかったが、どのシーンをとっても、蝋燭の照明や、窓から漏れる光の使い方や、画面の色調が見事で、すごく綺麗。色の綺麗さに、こんなに感動したことは、初めてだった。

「三月のライオン」は何年かに1回なんだけど、リバイバル上映される。あの色の感動をまた味わいたくて、その度に映画館に足を運んでいる。去年も、監督の矢崎仁司の新作「ストロベリー・ショートケイクス」の公開に合わせて、新宿のK's Cinemaで上映されたので観にいった。あいかわらず、いい映画だとは思ったけど、シネマワイズで観たときの感動は無かった。

何故だろう?スクリーンの違いか、映写機の違いだろうか?シネマワイズは、昼間は寄席で、夜だけ映画館という変わったところで、座席の傾斜がすごく大きく、舞台が高い位置にあり、普通の映画館とは雰囲気が違っていた。DVDも持っていて、家でもたまに観ることはあるが、やっぱり映画館で観るのとは違う。もしかしたら、年齢を重ねるにつれて、新鮮な感動から遠ざかっているのではと思うと、ちょっと切ない。いや、そんなことはないはずと、この先も、あのときの色の美しさを再び味わえることを信じて、また観にいこうと思う。

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逆境ナイン

逆境ナイン 全力版先週のことになるが、「逆境ナイン」のDVDを借りてきて観た。島本和彦の漫画が原作の映画化で、映画版では弱小の野球部が、県予選大会を勝ち上がるまでが描かれている。

強敵相手に、ありえない展開で勝つ。9回裏、112対0で負けていて、ピッチャー以外は全員倒れて試合に出れない逆境から、いかに逆転するのか?ばかばかしい...スポーツを題材にしたギャグ漫画というジャンルでは、他にもあると思うが、その勢いにおいては、島本和彦ほど振り切っている人はいないと思う。僕は「仮面ボクサー」が大好き。だれか、映画化してくれないだろうか?松本人志監督はどうだろう?

「逆境ナイン」は、ばかばかしい展開もいいけど、重要な場面で登場人物が発する名言(?)が秀逸。ギャグなんだけど、ある意味、真をついている。それに、登場人物の、熱い思いには、不思議と感情移入できて、気が付くと自分も熱くなっている。

漫画では北海道が舞台になっているが、映画ではなぜか我が故郷である三重県が舞台になっていて、伊勢志摩の辺りを中心に撮影されたらしい。主人公が通う高校は、鳥羽高校のようだ。そして、決勝戦の舞台は、僕の実家の近くにある霞ヶ浦球場だった。スコアボードの向こうに、四日市の工業地帯の煙突が見える。

主人公を演じるのは玉山鉄二、「手紙」の役とはうって変わって、コミカルな役も上手いと思う。野球部のマネージャーは堀北真希。三重にきてたのかぁ。見に行けば良かったとちょっと思う。

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しゃべれども しゃべれども

シネリーブル池袋の朝一の回で、映画「しゃべれども しゃべれども」を観た。後半、涙が止まらなくなってしまった。気持ちがさめないうちに感想を書こうと思う。

国分太一演じる落語家三つ葉は、弟子入りして10年程たつが、まだ一人前になれずにいる。寄席で落語をやっても、どこかぎこちなく、観客に全く受けない。若いけど頑固で、古典落語以外は一切やる気が無く、普段から着物で過ごしている。ある日、師匠がカルチャースクールの話し方講座で講師をすることになる。三つ葉は、そこでたまたま出会った女性と口論したことをきっかけに、渋々ながら素人3人に落語を教えることになる。

香里奈演じるクリーニング屋の娘は、美人ではあるが、むちゃくちゃ無愛想で、いつも怒った顔をしていて、人と素直に話すことができない。関西から転校してきた、阪神ファンの小学生は、関西弁が原因で、クラスメートからいじめられている。松重豊演じる元プロ野球選手、湯河原は、口下手で、野球中継で解説の仕事を上手くこなすことができない。

そんな問題のある3人に落語を指導することで、三つ葉自身も成長していくという、ある意味単純で、特に新鮮さもないストーリーを軸にしている。しかし、この映画は、役者がそれぞれの持ち味を十二分に発揮していて、通り一遍のストーリーではあるが全く飽きずに、最後まで引き込まれて観てしまった。

演出も、意図的に感動させようとはせずに、押さえ気味に話をすすめるところが好感が持てた。特にすごいと思ったのが、後半、三つ葉が自分の殻をやぶって、演目を見事にこなし観客を笑わせるシーン。三つ葉の落語が本当に面白くて笑えるのだけれど、それと同時に感動で涙があふれてくる。去年観た「手紙」では、漫才で泣かせるというシーンがあった。ただ、「手紙」の場合は、その漫才のシーンで、小田和正の主題歌を流して、意図的に感動させようとする演出に、僕は今ひとつ乗り切れなかった。「手紙」自体はいい映画だったと思うけど。この映画は、そういった演出は無く、静かに落語をそのまま見せるだけである。そこが人によっては淡白すぎると感じるかもしれない。「リトル・ミス・サンシャイン」のラストにも近いが、こっちの方がより感動したかもしれない。

もう一つびっくりしたのは、関西弁の子役。オーディションで選ばれたらしいが、めちゃくちゃ上手い!というか上手すぎる。桂枝雀の、枝雀でないとできない思われる落語を見事にコピーしてみせる。そして、自分の落語の途中で、いじめっ子が笑うのを見たときの、表情と勢いのすばらしさ。

香里奈も、きれいなだけであまり演技は上手くないのではと思っていたが、この役はとても良かった。主役だけでなく、三つ葉の師匠の伊藤四郎とか、祖母の八千草薫もいい。

それぞれの悩みが見事に解決という、すっきりした展開にはせずに、その代わりに未来への希望を見せる終わり方も好き。結構、ネタバレ的なことを書いてしまったが、この映画はシナリオ自体はそれほど重要じゃないので、問題ないと思う。

この映画、今年の映画賞では何らかの賞を受賞すると思う。作品賞とかもあり得ると思うが、とりあえずは、子役の新人賞は最有力。

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プレミオのCM

ブルーベルベット 特別編 オリジナル無修正版さっき見た新型プレミオのCM。BGMはデビット・リンチの映画にも使われた「ブルーベルベット」。映画の内容は、平凡に暮らしていた主人公が、ある女性と知り合ったことをきっかけに、おぞましい闇の世界に引きこまれて行くというような内容。人が持つ表の顔と裏の顔、一見平和に見える世界の裏側に潜む悪。

そんなわけで、僕はこの音楽を聴くと、なにか裏があるのではないかと勘ぐってしまう。夫婦役が、樋口可南子と光石研というもの、なんか微妙。光石研は、去年観た「紀子の食卓」での、追い詰められる父親役が印象的だった。一見幸せそうに見える夫婦だが、実は裏では…樋口可南子の目が怪しい。

このCMのBGMとキャスティングを考えた人、狙ってやっているのだとすると、すごく巧妙。トヨタの立場で考えると、思惑とはずれてるので、全然嬉しくないと思うが。考えすぎかなぁ。でも、怪しい…

※7/7追記。「紀子の食卓」で、「バラが咲いた」が流れるシーンがあるが、監督の園子音は、このシーンは「ブルーベルベット」をイメージしたと、何かのインタビューで答えていた。偶然の一致だろうか?

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今年観た映画

昔、ホームページをやってたときは、映画を観たら必ず映画評を書いていたので、一年間で観た映画が後で思い出せて良かった。ブログを始めたので、ここらで、今年観た映画を整理しておきたいと思う。観た順番は良く覚えてないので、Wikiの2007年の公開映画から公開順に並べてみる。一部2006年公開のものもある。

  1. 敬愛なるベートーヴェン
  2. 犬神家の一族
  3. 酒井家のしあわせ
  4. リトル・ミス・サンシャイン
  5. 恋人たちの失われた革命
  6. 愛の流刑地
  7. バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
  8. ドリームガールズ
  9. 松ヶ根乱射事件
  10. 絶対の愛
  11. 素粒子
  12. 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
  13. ロッキー・ザ・ファイナル
  14. 机のなかみ
  15. バベル

なんか、見落としてるような気もするけど、こんなものかなぁ。16本中、日本映画8本、外国映画8本。我ながら、何のポリシーもない。メジャーなアクション映画は観ていない。

また、感想を書きたいと思うけど、一番好きなのは「リトル・ミス・サンシャイン」、ストーリーも面白かったし、音楽も良かった。一番感動したのは、ロッキー。会社でいろんな人に薦めてるけど、観た人の評判もすごくいい。

今週末観たい映画。

  1. しゃべれども しゃべれども
  2. 善き人のためのソナタ
  3. 眉山
  4. 大日本人

明日はボーナス支給日。ボーナスが出たら買いたいもの。

  1. 雨の日用の靴(黒)
  2. クールビズ用のシャツ

以上。

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机のなかみ

先週末、テアトル新宿のレイトショーで「机のなかみ」という映画を観た。ホームビデオで撮られた低予算まるわかりのコメディ映画だったが、なかなか面白かった。

家庭教師が教え子の女子高生を好きになる。でも、その女子高生は、家庭教師のもう一人の教え子である男子高校生のことが好きで、その男子高校生は、女子高生の友人と付き合っている。家庭教師は、女子高生の言動に自分に気があると勘違いしている。

脇役も含めて登場人物のキャラクタが皆面白い。個人的には、家庭教師の同棲している彼女にはまってしまった。女子高生にギターを弾ける人が好きと言われて、教え子の男子にギターを借りて自分の部屋で練習する家庭教師。全然弾けてない。そこに登場する彼女。出てきた瞬間からちょっと異様な雰囲気。その後、ぶっきらぼうな口調で発したセリフ。

「すっげー、かっけーじゃん。かっけーじゃん。」

その後のせりふもすべてぶっきらぼう。出てくる度に笑ってしまった。女子高生の冴えないお父さんも面白かった。ラスト近くのなんとも言えない気まずい雰囲気の場面とか良かった。

見に行った日が、公開最終日で、上映前に主演の女の子と、監督のトークショーがあった。客席は空いていたが、最前列には10人程度だろうか、ファンと思われる人たち陣取った。鈴木美生というグラビアアイドルで、僕はこの映画を観るまで知らなかったが、どんなマイナーなアイドルでもしっかりファンは付いている。

映画で観ると、童顔でちょっと舌ったらずのしゃべり方で、幼い感じだが、トークショーでは、はきはきしゃべる大人な印象だった。東京でマイナーな映画を見ると、こういうトークショーが良くあるので面白い。

低予算でもアイディアがあれば、面白いものが作れるという好例。

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バベル

日曜日に映画「バベル」を見てきたので、その感想を書きたいと思う。菊地凛子がアカデミー賞にノミネートされたことで、ヒットしている。日曜の夜という時間にもかかわらず、六本木ヒルズの映画館は結構混んでいた。

しかしながら、Yahoo等の感想を読むと、否定的な意見を書き込んでいる人が多く、評価はあまり高くない。一方で高い評価をしている人もいる。こういう評価の分かれる映画は、自分で観て確かめてみたくなる。

この映画は、「モロッコ」「メキシコ」「東京」の3つの物語からなるオムニバス映画だ。それぞれの話は並行して進行し、主人公たちが知らないところで繋がっている。

モロッコの少年が遊びで撃ったライフルの弾が、アメリカからツアーで来ていた観光客を乗せたバスに命中する。バスにはケイト・ブランシェット演じる妻と、ブラッド・ピット演じる夫が乗っているが、妻の肩に命中してまう。夫は妻を助けようと必死になるが、文化の違いや、立場の違いが障害となり、その想いはなかなか伝わらない。

一方、アメリカでこの夫妻の子供たちを世話するメイドは、自分の息子の結婚式のため、メキシコに里帰りする。しかし、アメリカに戻る途中でトラブルに巻き込まれ、幼い子供たちと砂漠の真ん中に取り残されて路頭に迷うことになる。

東京編では、菊池凜子演じる聾唖の女子高生が、家族や友人たちとの心の繋がりを渇望し続けている。

感想を一言で表すと、"痛々しい”ということになるだろうか。どの編も、人と人との隔絶を描いている。主人公たちは、繋がりを求めて、痛々しいまでに努力する。

この映画は、言葉が通じないという、ある意味わかりやすい形で、その隔絶を描いているのだが、隔絶を感じるのは何も言葉が通じないときだけではない。誰でも、普段生活している中で、自分の思いが相手に伝わらないと感じることは多々あるはずだ。この女子高生が感じている寂しさにも共感できる。そういう意味で、この映画が描こうとしているのは、誰もが抱いている、すごく普遍的な心情であると思う。

「バベル」というタイトルは、旧約聖書の言語が分かれるきっかけとなったバベルの塔の話からきていることは容易に想像がつくが、監督によると、タイトルは映画ができた後でつけたらしい。その話からも、監督が意図としていたのは、言語の隔たりではなかった事がわかると思う。

この映画に批判的な意見には、それぞれのエピソードの繋がりが弱いとか、日本の状況が実際とは違いすぎるとかいうのが多いが、そんな事も、あまり重要じゃないと思う。上映時間が長すぎるという意見もあるが、僕は長さについては全然苦痛ではなかったし、特に無駄なシーンも無かったと思う。

それぞれのエピソードは、最後に希望を見せる形で終わる。泣けるとか、感動させられるとか、そういった類の映画ではないが、深く考えさせられる内容のある映画だった。

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ビデオ鑑賞

日本沈没 スタンダード・エディション今日は、天気がすっきりしなかったというのもあって、昼から家にこもってHDDレコーダに録りためたビデオを見た。一本目は、「日本沈没」。スケールの大きい話なんだが、いまいち盛り上がりに欠ける。柴崎コウの役をもっと丁寧に描いて欲しかった。和久井映見が草薙くんのお姉さん役で出ているが、酒蔵の娘という設定が、「夏子の酒」を見ていた人にはツボ。

同じ海洋ものなら、「海猿」の方がリアリティがある分、おもしろかった。「アルマゲドン」も個人的には、今一だったので、この手の映画は合わないのかなぁ。

Dsc01159 もう一本は、WOWOWオリジナルドラマの「真夜中のマーチ」。10億円の現金をめぐるドタバタ劇。原作は、奥田英朗。氏の本は、「イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」しか読んでないけど、原作が良くできているという感じで、ドラマ化されても面白い。香椎由宇がつっぱった役で出ているが、この人は「東京タワー」のような清楚な役よりこういう感じの方が合うと思う。ちょっと個性的なファッションもこっちの役の方があってるし。写真は、香椎由宇がバズーカで車を吹っ飛ばすシーンだが、最初見たときはそんな事ありえへんと思ったが、後でタネ明かしがあって納得した。この手の話は、ドラマの複線が命。(写真はもうちょっと明るく撮りたかったところ。なかなか難しい...)

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